魅惑の摩天楼、香港フォト通信
香港は甜面醤じゃなくてこれを使う! 一度使ったらやみつきになる感動の調味料、海鮮醤
■あっと驚き広東料理では使われない甜麵醬
十数年前、香港に来たばかりの頃、
『今日はキャベツと豚の炒め物、回鍋肉を作るぞ!』とローカルのスーパーに行って驚いた。
甜面醤が見つからないのだ。何軒も何軒も捜し歩いた。
当時は日系のイオンにもなかった。
甜面醤無しでどうやって回鍋肉作ればいいのだろう?
あの甘味噌のような調味料があってこそ出来るのに。
甜面醬が見つからないなんて本当に謎だった。
香港のローカルの持ち帰り店で甜面醤で炒めたとしか思えないおかずをよく見るし、
豚ひき肉のあんを乗せたジャージャー麺が置いてあるお店もよく見る。
そして香港は北京ダックが超絶的に美味しい。
だけれどあの北京ダックの甘いソースって甜面醤無しでは作れないはず。
どうやってるんだろう?
それからは日本に一時帰国するたびに甜面醤を買って帰ってきていた。
香港と言う中華圏に住んでいて甜面醤を買っていくってどういうこと?と驚かれたものだ。
娘がまだ幼いころ、インターで仲良くなった香港人のクラスメートのママさんと運動会で一緒になった。
彼女は料理教室の講師を務めていた。甜面醤が見つけられないと聞いて謎は解けた。
『香港では甜面醤は一般的な調味料じゃないのよ。甜面醤じゃなくて海鮮醤(ホイシンジャン、Hoisin Sauce)という広東特有の甘味噌を使うの』。
海鮮醤(ホイシンジャン、今までに聞いたことも無い名前だ。
『なになに、どういう漢字か書いて』と紙に書いてもらった(あの当時はまだスマートフォンが無かったからね)。
■海鮮醤(ホイシンジャン、Hoisin Sauce)とは
海鮮醤とは中国広東省で広く使われている甘味噌調味料である。
見た目は日本で売られている甜面醤に非常に似ている。海鮮醤のほうがやや赤みがある。
日本製の甜面醤と海鮮醤を二つ並べて交互に舐めてみると違いが直ぐわかる。
海鮮醤は甜面醤より甘みが強く濃厚である。その濃厚さ故、海鮮やお肉の炒め物が凄くおいしく仕上がる。
なるほどね、だから香港の肉や海鮮の炒め物や北京ダックの甘味噌って濃厚で美味しいわけだ。
香港はベトナムレストランも多い。生春巻きに添えられる濃厚な甘ダレも海鮮醤である。
海鮮のネーミングから魚貝類から作られた調味料とラベルを見て勘違いをする人も多いと思う。
海鮮類は一切入っていない。大豆や小麦、香辛料などをブレンドして造られている。
海鮮醤を知ってからはこっち一辺倒になってしまい、一時帰国の際に甜面醤を買うこともなくなった。
逆に日本でその名をほとんど知られていなかったので香港からのお土産として海鮮醤に中国茶を添えてよく配った。
■現在は日本でも楽々入手可能
私が普段香港のスーパーで買っているのは李錦記(Lee Kum Kee)というメーカーのもの。
1888年創業の香港の大手食品企業。現在SB食品が李錦記の海鮮醤を日本国内で販売している。
日本でも海鮮醤は知名度があがってきたのかもしれない。
■ローカルのお醤油屋さん
香港のローカルのお醤油屋さんで様々な調味料をみるのは本当に楽しい。
観光客、在住者の間で一番有名なのはセントラルにある九龍醤園である。
今回はガイドブックにはほとんど載っていない穴場のお醤油屋さんを紹介。明徳醤園である。
(住所:紅磡觀音街10號、 10 Kun Yam St, Hung Hom)
観音街というだけあって隣には一級建築物の観音廟がある。
お金のご利益がある為参拝者が多く訪れる。
歴史ある建築物を見て隣のお醤油屋さんに足を運ぶ。
なんとも香港チックな経験が出来る一角である。
こういったローカルなお醤油屋さんには香港では一般的でない香港製の甜面醤が置いてある。
ローカルの甜面醤は日本製の甜面醤と色が全く違う。
逆にローカルの甜面醤は珍しくて日本へのお土産に喜ばれるかもしれない。
著者プロフィール
- マリエ
香港在住の雑貨が大好きなフォトグラファー。大学卒業後、自動車会社、政府機関、外資企業にて広報担当。夫の転勤で香港に移住後、カメラに興味を持ち、日本人、外国人フォトグラファーに師事。現在、雑貨を可愛く撮るカメラ教室「Zakka Styling」を主宰。同時に家族写真、ロケーションフォトの依頼もこなす日々。インスタグラムはこちら。