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トランプ暴露本より「アメリカの本音が分かる」話題の3冊
ハーバード大学の初期の学長を務めたインクリース・マザーは神権政治家であり、「終末預言」を文字どおりの真実と考える清教徒でもあった。「キリストが再臨し、死者をよみがえらせ、裁きを行う」世界の終わりは「今すぐにでも起こる」と説いた。マザーは悪名高いセーレムの魔女狩り裁判にも関わったことで知られる。「アメリカは宗教過激派によって創造された」のだ。
しかし、このマジカルな発想があるからこそ、アメリカではハリウッドの映画産業やディズニーが誕生し、人類を月に送ることができたとも言える。本書のタイトル「ファンタジーランド」そのものだ。一方でインチキ医療やドラッグの蔓延、さまざまな陰謀説も生まれた。
現在のアメリカではリアリティー(現実)よりフィクションが多い「リアリティー番組」が流行しているが、大統領選で拡散されたフェイクニュースは、現実と乖離したリアリティー番組の「リアリティー」と同じようなものだ。情報の受け手が、「信じたいものを信じる権利がある」と決めれば、それが「真実」になる。
アンダーセンは本書で「最近では、メインストリームという言葉は侮蔑語になり、エリートによる偏見、嘘、抑圧を意味する表現として使われるようになった」と指摘している。
絶望的な状況のようにも感じられるが、保守とリベラルの双方の著名人の講演を運営してきた知人は「トランプ政権の誕生はアメリカが軌道修正するための必要悪かもしれない」と言う。
堂々と嘘をつき、独裁政権への憧憬を口にする大統領への危機感から、昨年前半にはディストピア小説の古典、ジョージ・オーウェルの『1984年』やマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』がベストセラーになった。多くの読者は、これらの古典を読んだことがなかった若者だ。
嘆きと怒りが原動力に
『侍女の物語』の舞台は、キリスト教原理主義者による軍事クーデターで独裁政権となった架空の未来だ。この新国家では、妊娠可能な女性は「侍女」として子供を産む道具として扱われ、名前もなければ自由もない。現代の女性にとってはただのフィクションだが、建国時からキリスト教原理主義が強いアメリカでは、73年の連邦最高裁「ロー対ウェード判決」まで人工妊娠中絶は違法だった。残念なことに、それを覚えているのは高齢層だけになっている。
キリスト教右派は長年この判決を覆すことを狙っており、民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンやフェミニストはその危機を訴えていたが、若い女性は耳を傾けなかった。
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