トランプとゼレンスキー、まさかの決裂──米ウクライナ関係の行方は?

カメラの前で激しい言葉の応酬を繰り広げたゼレンスキー(左)とトランプ(中央)、バンス BRIAN SNYDERーREUTERS
<米ウ首脳会談がまさかの決裂、次は何が崩れるのか。ウクライナと欧州諸国、そして世界にとって、過去数十年間に経験したことがない恐怖と不確実性に満ちた問いだ>
前代未聞の光景だった。場所はホワイトハウスの大統領執務室。アメリカ大統領がテレビカメラと報道陣の前で、苦しい戦争を戦っている友好国の指導者を痛罵したのだ。マフィアのドンが債務者と対面し、恭順の意の表し方が足りないと脅すかのように。
2月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領がホワイトハウスを訪ね、トランプ米大統領との会談に臨んだ。両首脳はこの日、トランプが要求していたとおり、ウクライナの鉱物資源の権益をめぐる合意文書に署名する予定だった。
これにより、良好とは言い難かった両首脳の関係が改善に向かい、アメリカはウクライナへの軍事支援を続け、トランプがロシアのプーチン大統領との間で始めた和平協議でウクライナが一方的に犠牲にされることも避けられると期待されていた。
ところが、首脳会談が始まってしばらくすると、同席していたバンス米副大統領がゼレンスキーを厳しく非難した。トランプへの敬意が足りないというのである。「あなたはこの会談中に一度でも『ありがとう』と言ったか」と、バンスは問い詰めた。
トランプの言葉も激しさを増していった。「あなたはよい立場にない!」と怒鳴り声を上げ、「あなたは有効なカードを持っていないではないか!」と述べた。
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