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ウクライナ

ウクライナの永世中立国化が現実的かつ唯一の和平案だ

The Only Viable Peace for Ukraine

2025年2月17日(月)18時16分
バシル・フィリプチュク(国際政策研究センター上級顧問、元ウクライナ外交官)

国連改革も急務だ。国連安保理には「常任理事国が戦争を始めたら必ず罰則を与える」という条項を追加すべきた。ウクライナも、腐敗の根絶など国内の改革を進めなければならない。

スローガンから行動へと軸足を移した政治家たちの目に映るのは、不愉快な真実だろう。最もうまく行った場合でも、ウクライナに残った人々が戦争終結と経済復興という「平和の配当」を受け取るには長い時間がかかる。ましてEUへの完全な加盟など遠い夢だ。

戦争で荒廃した上にいつまた攻撃を受けるか分からないような状態では、ウクライナに帰国する人は少ないだろう。あえて投資を試みる外国企業も出てきにくい。

つまりトランプは、欧米の安全保障の枠組を完全にリセットするという目標への取り組みを、欧州のすべての人々の未来に安心感をもたらすような野心的な和平合意とともに始めなければならないのだ。

残りの課題はウクライナ自身が解決すべきものだ。強く、回復力に富み、国境と領土を守る存続可能な国家は、自分たちの力で維持しなければならないことを、ウクライナ人は肝に銘じければならない。

From Foreign Policy Magazine


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