「トランプ2.0」で、アジアの未来はこう変わる
ASIA UNDER TRUMP 2.0

中国外相との電話会談で、ルビオは同盟国重視を強調した ELIZABETH FRANTZーREUTERS
<対中強硬派として知られるルビオ新国務長官。トランプの「孤立主義」「ディール外交」は日本を含むアジアの同盟国にとって必ずしも悪いことではない>
第2次トランプ米政権発足後、アジアにとって重大な意味を持つ最初の任務として、ルビオ米国務長官が1月24日、中国の王毅(ワン・イー)外相と電話会談を行った。ルビオは3つの点を明確に告げた。トランプ政権は米中関係で自国の国益を最優先し、アジアの同盟国との関係を重視し、台湾や南シナ海での中国の威圧的行動を深刻に受け止める、と。
対中政策のトーンを再調整した今回の電話会談は、トランプ米大統領が「孤立主義」で「ディール外交」重視だという根強い見方をほぼ打ち消すものだった。
孤立主義というレッテルの根源は、米外交に長らく付きまとう欧州(と、その隣接地域の中東)重視の姿勢だ。アメリカは、中国の台頭が始まった2000年代に「アジアへの旋回(ピボット)」の必要性が明らかになったにもかかわらず、本気で転換に乗り出すことはなかった。
このピボットを可能にするため、1期目のトランプは欧州に対ロシア・イラン防衛負担の増加を迫り、アメリカのNATO脱退という脅しもかけた。不満を抱いた多くの欧米の政治家がトランプを自己中心的な孤立主義者と呼び、元実業家トランプの近視眼的なディール外交を嘲った。