不動産危機・中国の次のリスクはZ世代の節約志向...「内巻」が続けば「ディスインフレが強まる」
一部のエコノミストは、貯蓄傾向が根を張れば需要を空洞化させかねないと警告している。折しも政策当局は、国内総生産(GDP)の押し上げを国内消費に頼ろうとしているところだ。根強い悲観論は既に、自動車からタピオカミルクティーに至るまで消費者物価の下落を招いており、中国の長期的な潜在成長力にも打撃を及ぼすだろう。
この状況は、いわゆる「月光族」世代の浪費的な態度とは対照的だ。月光族とは1980年代から90年代生まれの世代を指す。
米ジョンズ・ホプキンス大学の政治経済学教授、ホーフン・フン氏によると、この世代は雇用機会の拡大、所得の増加、生活水準の向上しか経験せずに育っており、月給をその月に使い切ってしまうことで知られていた。
しかし新型コロナウイルスや景気後退、政府によるハイテク企業など民間セクターへの締め付けを経て、今日の若者は最悪の事態に備える必要があると実感していると、フン氏は語る。「楽観主義が失われるのは、1978年に改革解放政策が開始してから初めてのことだ」という。
<雇用の不安>
悲観論が広がる中、多くの若者は政府機関や国有企業などで「鉄飯碗(安定した雇用)」の仕事を求めている。スーさんは将来、公務員試験を受けるつもりだと語った。
16歳から24歳までの約1億人の失業率は過去2年間、高止まりしている。2023年6月には若年層の失業率が21.3%と過去最高を記録。これを受けて当局はデータの公表を停止して算出方法の「再評価」に乗り出し、調整を経て発表された昨年12月の同失業率は15.7%だった。