アサド政権崩壊で、もうシリア難民に保護は不要?...強制送還を求める声に各国政府の反応は?

Do Syrian Refugees Still Exist?

2025年1月15日(水)14時17分
アンチャル・ボーラ(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

移民・難民の初期受け入れ施設で昼食の列に並ぶ人々

移民・難民の初期受け入れ施設で昼食の列に並ぶ人々。大半がシリア出身者だ(2023年10月、ドイツ東部のアイゼンヒュッテンシュタット) SEAN GALLUP/GETTY IMAGES

ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は1月3日、ダマスカスでシリアの実質的な指導者アフマド・アッシャラア(別名モハマド・ジャウラニ)と会談。その直後にナンシー・フェーザー内相が、ドイツ在住の一部のシリア人の保護資格を取り消し、国外退去を命じる可能性があると表明した。

「シリア情勢の安定化を受け、ドイツでの保護が必要なくなったなら、わが国の法律が規定するとおり連邦移民・難民局はシリア難民への保護資格を見直し、取り消すことになる」と、フェーザーは語った。「この措置は居住権を持たず、自主的にシリアに帰国しない人々にも適用される」


キリスト教民主同盟(CDU)のイェンス・シュパーン議員は、自主的に帰国するシリア難民に政府が1000ユーロを支給する計画を提案。さらにキリスト教社会同盟(CSU)のアレクサンダー・ドブリント議員は帰国を保証する代わりに、シリア再建へ財政支援を行うべきだと表明した。

相次ぐ政治家の発言に、ドイツ在住シリア人の間には動揺が広がっている。シリア難民は、市民の役割を果たすことでドイツ社会にかなり溶け込んでいるとみられる。

約22万6600人が就職して社会保険料を納め、約27万9600人が求職者として登録されているなど、他の難民グループより社会に貢献する資質があると考えられている。

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