最新記事
日本政治

「少数与党」でモヤモヤする日本政治だが、そのしなやかさは民主主義の希望となり得る

2025年1月1日(水)08時00分
トバイアス・ハリス(日本政治研究者)

野党は与党の動きに誠実に対応し、弱った自民党政権をつぶそうとはせず、日本式「コアビタシオン(保革共存)」のパートナーとして振る舞っている。政策決定においては首相官邸主導のスタイルが続いてきたが、立憲民主党は今を好機と捉え、国会の役割を拡大して日本の民主主義を本質から変えることを提案している。

ポピュリズムやデマに負けず

他の民主主義国との違いは鮮明だ。アメリカではドナルド・トランプ次期大統領が政敵への復讐を誓う。韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領がねじれ国会に業を煮やして非常戒厳を宣布。フランスでは少数与党が左右両陣営から不信任案を突き付けられて崩壊した。


日本のコアビタシオンが不安定なのは間違いない。石破首相も野党の党首も今後は歩み寄りを控え、交渉で強硬な姿勢に出ることを迫られるだろう。国民民主党は例外かもしれないが、政治に失望した国民に厳しい目を向けられない党は皆無だ。

また、従来の政治システムに属さない異端者が自分たちを蹴散らすのではないかという不安は、全ての政党に共通する。単独で過半数を守る政党はなく、いずれの党も国民の生活を政策で改善できることを証明しなければならない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米ETF、昨年の流入資金は過去最高 市場拡大へ新た

ワールド

ウクライナ、ロシア西部クルスク州で新たな攻撃開始

ワールド

イスラエルとハマス、停戦協議巡り応酬 ガザ空爆で1

ビジネス

中国系ハッカー集団、チャーターなどの米通信会社も標
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...ミサイル直撃で建物が吹き飛ぶ瞬間映像
  • 2
    空腹も運転免許も恋愛も別々...結合双生児の姉妹が公開した「一般的ではない体の構造」動画が話題
  • 3
    ウクライナ水上ドローンが「史上初」の攻撃成功...海上から発射のミサイルがロシア軍ヘリを撃墜(映像)
  • 4
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡…
  • 5
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 6
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 7
    「妄想がすごい!」 米セレブ、「テイラー・スウィフ…
  • 8
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを…
  • 9
    肥満度は「高め」の方が、癌も少なく長生きできる? …
  • 10
    気候変動と生態系の危機が、さらなる環境破壊を招く.…
  • 1
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も助けず携帯で撮影した」事件がえぐり出すNYの恥部
  • 2
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 3
    JO1やINIが所属するLAPONEの崔社長「日本の音楽の強みは『個性』。そこを僕らも大切にしたい」
  • 4
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 5
    イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカ…
  • 6
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを…
  • 7
    キャサリン妃の「結婚前からの大変身」が話題に...「…
  • 8
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 9
    青学大・原監督と予選落ち大学の選手たちが見せた奇跡…
  • 10
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中