最新記事
英語

オックスフォード大学「今年の流行語」は「brain rot(脳腐れ)」、その意味は?

'Brain Rot': Oxford University Press 2024 Word of the Year Revealed

2024年12月3日(火)19時11分
アミール・ダフタリ

「brain rot」は2024年における文化的基準となったが、この言葉には深い歴史的ルーツがある。記録されている中で最初の使用例は1854年にさかのぼる。

アメリカの作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローが、ナチュラリスト的な思想を綴った代表作『ウォールデン 森の生活』で用いたものだ。

ソローは、文明社会にどっぷり浸かって思考を止めてしまう風潮を批判した。

それが現代では、デジタル時代の批評の意味合いを帯びる。

オックスフォード英語辞典の出版元、オックスフォード・ランゲージズのキャスパー・グラスウォール会長は、「『brain rot』は、バーチャルな生活、そして自由時間の危険な浪費をとらえた表現だ」と、評価した。

「人間性とテクノロジーに関する文化的な議論が、進むべき次の章に入ったように感じられる」とグラスウォールは述べた。「これほど多くの投票者がこの言葉を支持し、今年の言葉として推薦したのも、驚くには当たらない」

「今年の言葉」をめぐる争いは激戦となったが、「brain rot」は、他の5つの最終候補を押しのけて勝利を収めた。その他の候補には、「ロマンタジー」や、経済をめぐる議論で使用頻度が上がっている「ダイナミックプライシング」などがあった。

しかし「brain rot」は、時代精神をとらえているという面で抜きん出ており、絶え間ないオンライン消費が及ぼす影響に対して広がる不安感を反映している。

超デジタル化時代に、社会がどう反応し、適応し、進化していくか、という点にスポットライトを当てる選択と言えるだろう。
(翻訳:ガリレオ)

20250318issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年3月18日号(3月11日発売)は「日本人が知らない 世界の考古学ニュース33」特集。3Dマッピング、レーダー探査……新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ゆうちょ銀株の売り出し価格1444円、総額5900

ワールド

日銀の物価目標、大体達成しつつある 政府の価格対策

ワールド

メキシコ大統領「主権が常に最優先」、米関税猶予を支

ビジネス

独1月輸出は前月比2.5%減、鉱工業生産は予想以上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手」を知ってネット爆笑
  • 3
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望的な瞬間、乗客が撮影していた映像が話題
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 6
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒト…
  • 10
    中国経済に大きな打撃...1-2月の輸出が大幅に減速 …
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中