フランス政変の行方――盟友バイルー新首相が導くマクロン政権の終焉の始まり
色々な説がメディアを賑わしているが、最も大きな理由と考えられるのは、バイルーが、マクロンの進めてきた新しい中道路線を換骨奪胎してしまい、バイルー流の古い中道路線に引き戻してしまうことを、マクロンは恐れたのではないかということだ。
マクロンとバイルーの中道路線には違いも
マクロンの中道路線(マクロニズム)は、社会民主主義をベースにして、進歩的、リベラル、都会的、ポストモダン、グローバル、未来志向、政治手法はスマートでエリート的な、若い世代の新しい中道路線と形容できる。
これに対し、バイルーの中道路線(バイルーイスム)は、キリスト教民主主義をベースにして、牧歌的、保守的な価値観と近代的な価値観が共存する中道、政治手法は泥臭く、庶民的、属人的アプローチを好む、古い世代の中道路線と形容できる。
第五共和制下のフランスでは長く左右二極対立の構図が続き、中道派はその間で埋没した小さな第三勢力の存在でしかなかったが、そうした中でバイルーはずっと中道の旗を掲げ、政権の座を目指してきた。
「右でも左でもない」ことを標榜したマクロンの登場で、フランスの中道はようやく日の目を見ることになり、バイルーはその波に乗って、マクロンを支えることで、永年の念願であった中道政権を実現した。
しかし、今やマクロン政権の政治力は大きく低下してしまった。
そうした中で、中道政治家の重鎮として長いキャリアと実績を持ち、左右両派の領袖たちと対立しながら共存・協調してきたという経験を持つバイルーの存在が、大きくクローズアップされている。
それに反して、マクロンの影はますます薄くなって行かざるを得ない。
マクロン時代の終わりが始まったのだろうか。
山田文比古
名古屋外国語大学名誉教授。専門は、フランス政治外交論、現代外交論。30年近くに及ぶ外務省勤務を経て、2008年より2019年まで東京外国語大学教授。外務省では長くフランスとヨーロッパを担当(欧州局西欧第一課長、在フランス大使館公使など)。主著に、『フランスの外交力』(集英社新書、2005年)、『外交とは何か』(法律文化社、2015年)など。

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