フランス政変の行方――盟友バイルー新首相が導くマクロン政権の終焉の始まり
バイルー新首相(左)とマクロン大統領(2017年撮影)REUTERS
<フランスでは少数与党連立政権のバルニエ内閣が、議会から不信任を突き付けられて総辞職。マクロン大統領は、代わりに中道派の盟友、バイルー民主運動党首を新首相に任命した>
ことの発端は、年末の予算審議における議会と政府の対立にある。
そもそも、6月の議会解散とそれに続く総選挙の結果、新議会ではマクロン大統領支持派の中道連合は少数与党にとどまり、右派(共和党)のバルニエ元EU欧州委員会委員を首相に迎えて、ようやく中道派と右派の連立政権が成立していたが、それでも議会で絶対多数には至らず、少数与党にとどまっていた。
そうした中で、来年度予算案の議会審議が野党の反対で紛糾し、年内成立の目途が立たなくなったことから、バルニエ内閣は、予算案を強行採決する方針を固め、憲法上認められた内閣の強権的立法権限(予算案や法案の採決と内閣不信任決議をセットにして、後者が可決されなかったら前者は可決されたとみなすという、フランス第五共和制独特の制度)を発動して強行突破を目指した。
これに対し、絶対多数を占める左派(社会党など)・左翼(メランションの不服従のフランス)と右翼(ルペンの国民連合)の野党が一致して、内閣不信任決議を可決し、政府予算案を葬り去るとともに、バルニエ内閣の総辞職をもたらしたのだ。
窮地に陥ったマクロン大統領は、後任の首相を選任せざるを得なくなり、再び不信任されることのないよう、右派から左派までの幅広い政治勢力から支持される、あるいは少なくとも不信任を突きつけられる可能性のない、政治家を探し求めた。
中道派だけでなく、右派穏健派や左派穏健派を含め、複数の政治家の名前が取り沙汰されたが、左派系の政治家には右派の反発が予想され、右派系の政治家には左派の反発が予想されるという袋小路の中で、マクロン大統領は12月13日、右派とも左派とも折り合いの良い、与党中道連合を構成する民主運動(MoDem)のバイルー党首を首相に任命すると発表した。
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