トランプは簡単には関税を引き上げられない...世界恐慌を悪化させた「禁じ手」を含む「4つの秘策」とは?
Trump, the Tariff Man
一番簡単なのは、第1次トランプ政権で中国からの輸入品に課すために利用したもの。1974年包括通商法の301条によれば、不公正または差別的な慣行がある国に対しては大統領権限のみで関税を課すことが可能だ。
第1次トランプ政権は不当な補助金や為替操作、知的財産の盗用などを理由に中国産品に関税をかけた。バイデン政権も301条を根拠に、中国製の電気自動車や太陽光パネルなどに対する関税をさらに引き上げた。
こうした前例と権限を根拠にすれば、全ての中国産品に高率関税をかけるのも容易だ。ウルフに言わせれば「301条の行使は簡単」で、「トランプはいつでも中国への60%関税を発動できる」。
トランプが以前に利用したもう1つの手段は1962年通商拡大法の232条。国家安全保障のために関税を利用する権限を大統領に与えた条項で、トランプはこれを根拠に鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を引き上げた。しかし今回はあまり役に立たないかもしれない。
なにしろ232条を使うには、当該産品が安全保障に決定的に重要だという商務省による認定が必要だ。鉄鋼については認定されるだろうが、ペンシルベニア州の鉄鋼労働者の票が欲しいという理由だけでは苦しい。