最新記事
旧東欧

ルーマニア大統領選、12月に決選投票 反NATO派躍進でロシア介入説も

2024年11月26日(火)10時13分
ルーマニア大統領選第一回投票の様子

11月24日、東欧ルーマニアで、大統領選挙の第1回投票が行われた。写真は第1回投票の様子。ルーマニアのシンテシュティで撮影(2024 ロイター/Andreea Campeanu)

東欧ルーマニアで24日行われた大統領選挙は、北大西洋条約機構(NATO)懐疑派の極右カリン・ジョルジェスク氏と中道右派のエレナ・ラスコニ氏による12月8日の決選投票に持ち越された。大統領は国防と外交に権限を持ち、結果によっては親ウクライナ的な政策に影響が出る可能性がある。

選管当局によると、ジョルジェスク氏の得票率は22.94%、ラスコニ氏は19.18%。事前に優勢が伝えられていた中道左派のチョラク首相は3位に後退した。

同首相は選挙結果を受けて党首を辞任すると発表。首相職には12月1日の議会選までとどまるとした。

ルーマニアはウクライナと650キロメートルにわたる国境を持つ。2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、黒海の港がウクライナ産穀物の輸出拠点となり、ウクライナへの軍事支援も行ってきた。

ジョルジェスク氏はNATOに批判的で、デベセル基地にあるNATOの地上配備型迎撃ミサイルシステムを「外交の恥」と呼び、ロシアの攻撃を受けた場合にNATOはどの加盟国も守らないと主張していた。

<ロシアの選挙介入、否定できず>

ジョルジェスク氏は投票前の一部世論調査での支持率は5%程度で、24日の第1回投票での躍進は予想外だった。同氏は動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を中心に選挙戦を展開した。

政治評論家からは、世論調査と実際の投票結果が異なるのは1989年にチャウシェスク政権が崩壊し民主主義体制に移行して以降、初めてで、ジョルジェスク氏の躍進はロシアの介入によるものとの見方も出ている。

バベシュ・ボヤイ大学のSergiu Miscoiu教授(政治学)は「ジョルジェスク氏のウクライナを巡るスタンスと、世論調査と投票結果の違いを踏まえると、(ロシアが介入した)可能性は排除できない」と述べた。

首都ブカレスト中心部では25日、数百人がジョルジェスク氏に反対するデモを行った。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241203issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月3日号(11月26日発売)は「老けない食べ方の科学」特集。脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす最新の食事法。[PLUS]和田秀樹医師に聞く最強の食べ方

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


税制
日本のモデルは「合理的」。安定財源として期待される「たばこ税」はどうあるべきか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マスク氏のニューラリンク、脳インプラントの実現可能

ワールド

米中の動向、引き続き高い関心持ち注視=トランプ氏の

ビジネス

企業向けサービス価格10月は2.9%増、指数は95

ビジネス

午前の日経平均は反落、トランプ氏の関税方針を嫌気 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 9
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 10
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中