選挙予測大ハズレ、トランプに「大惨敗」...凋落した主流メディアに未来はあるのか
MAINSTREAM MEDIA’S LOSS
マーティン・ガリーは元CIA分析官で、現在は政治とメディアの関係を研究している。彼は14年の著書『大衆の反乱と権威の危機』で、主流メディアが失速し始めたのはデジタル情報の爆発的増加がメディアの権威を損ない、その欠点を浮き彫りにした時期だと指摘した。
力のバランスがエリートから大衆へと傾き、「民主主義政府を支えてきたジャーナリズム、学術界、科学界の権威が一斉に疑問視された」と論じた。
クレアモント・マッケンナ大学の政治学者ジョン・ピットニーは、「今では人々は多種多様な情報源から情報を得ている」と述べる。「政治の議論を主導するのはSNSだ」
だがSNS上の議論でも報道機関は重要な役割を果たしていると、ピットニーは考える。報道への批判であれ報道の一部を都合よく切り取るような場合であれ、「SNSで盛り上がる政治的話題の大半は、主流メディアが出どころだ」。
さらにピットニーは7月、ペンシルベニア州バトラーで起きたトランプ暗殺未遂事件を引き合いに出す。あの日撮影された中で最も注目を集めたのは、AP通信社のフォトグラファーがiPhoneではなくプロの機材で撮った写真だった。
「主流メディアが果たすべき役割は今もある」と、彼は言う。選挙戦終盤には、大衆の心が離れたことを主流メディアが自覚した兆しも見られた。