「不安極限」迫る米大統領選、騒乱に身構える有権者たち
中西部ミシガン州デトロイトのハリス氏支持者、シェリー・ゲイダグノゴさん(57)は、トランプ氏の扇動的な物言いが何を引き起こすのか不安だと吐露した上で「トランプ氏は暴力の火種にあらかじめ点火しようとしているようなもので、恐ろしい」と述べた。
逆に南部ノースカロライナ州ヘンダーソンビルの元教師で商店主、トランプ氏支持のリリアン・ホールさん(68)は、ハリス氏が敗れた際の暴動がこわいと話す。「トランプ氏が勝てば、今まで見たことがないような怒りが噴出すると思う」という。
10月16-21日に行ったロイター/イプソス調査によると、20年の選挙後にトランプ氏が不正を言い立て、支持者らによる連邦議会議事堂の襲撃につながったような不穏な事態が再燃しかねないとの見方が有権者の間で広く共有されていることが分かった。
過激主義者たちが選挙結果に不満を感じれば暴力に訴えるのではないかとの不安を感じている人の割合は全体で74%、民主党員は90%、共和党員は64%、無党派層は77%だった。
今回取材した有権者の中には、応援する候補の選挙運動に加わることで不安を払しょくしようとする数少ない人もいた。
ハリス氏への投票を呼びかける郵便はがきを熱心に投函してきた西部アリゾナ州タスカンの住民、シャーリー・イーストンさん(85)は、22年に連邦最高裁が人工妊娠中絶の合憲判決を覆す判断を示した後、7人の孫娘たちの将来が心配になったと話した。
マーケティング専門家のリサ・フィールズさん(60)は2日、自宅があるニューヨークのマンハッタンからトランプ氏を応援するため重要選挙区とされるフィラデルフィア郊外のデラウェア郡まで戸別訪問に赴いた。
フィールズさんは、トランプ氏が中東に和平をもたらすと期待し、どちらが勝っても米国がより団結することを望む。「より大きな善のために私たちはまとまる必要がある。私は対立候補に投票した人の意見に賛成しないが、彼らも投票する資格があり、それが米国の美点である以上、投票日後には団結を重視する」と語った。
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