「不安極限」迫る米大統領選、騒乱に身構える有権者たち
11月4日、選挙直前になって有権者のストレスは極限に達している。劇的に異なる2人の候補が異なる米国の未来を掲げて対決する中で、選挙結果とそれに伴って起きる可能性がある騒動から身を守ろうとしているのが、今の有権者の姿だ。写真はグラフィックデザイナーを引退したジェニファー・ビュネックさん(68)。ペンシルベニア州ベルビューで2日撮影(2024年 ロイター/Gram Slattery)
5日に投票日が迫った米大統領選を巡り、東部激戦州のペンシルベニアで暮らす管理職のダニエル・トレニーさん(39)はあまりにも不安が高まったため、今年はクリスマスツリーを早めに設置し、家族の気持ちを和ませようと決めた。
トレニーさんが住むベルビューは、ペンシルベニアの中でも民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領の両陣営とも特に重視するピッツバーグ郊外の選挙区で、住民たちは皆同じような心理状態だという。
既に期日前投票でハリス氏に入れたトレニーさんは「何とか不安を鎮めようと、気を紛らわせるために何でもそろえている。本当に一体どうなってしまうのだろうか」と語った。
グラフィックデザイナーを引退したジェニファー・ビュネックさん(68)は今回、トランプ氏に投票する考え。選挙前のとげとげしい雰囲気や、絶え間ない世論調査会社からの電話、選挙広告の洪水にはうんざりで、できるならそうした「雑音」を全て消してしまいたいと思っている。
土曜日だった2日は、菓子のレシピ本を読むことに大半の時間を費やして心の平穏を保った。「これまで一度も政治に入り込んだことはなかった。政治で気分が高揚した経験もない」とビュネックさんは話した。
選挙直前になって有権者のストレスは極限に達している。劇的に異なる2人の候補が異なる米国の未来を掲げて対決する中で、選挙結果とそれに伴って起きる可能性がある騒動から身を守ろうとしているのが、今の有権者の姿だ。