勝敗を分ける250万のムスリム票の行方、激戦州ミシガンには「8万2000人以上のレバノン系米国人」
Protest Votes from Muslim Americans
ハリスの「発言」というのは、おそらく先のテレビ討論会で「ムスリムの有権者が抱く懸念にどう答えるか」と問われた際にハリスが発した言葉だろう。
あのとき彼女は、10月7日の奇襲を受けたイスラエルには自衛の権利があるとしつつも、「あまりに多くの罪なきパレスチナ人が殺されている」と言い、さらに「この戦争は終わらせなければならない」とし、停戦と2国家共存の実現に全力で取り組むと語っていた。
しかしムスリム公共問題協議会のハリス・タリンに言わせると、今は「ガザ地区とレバノンから届く恐怖の写真や映像」がハリスの票を奪い、それが緑の党のスタインに流れている。
勝ち目はなくても、スタインには明確な主張があるからだ。「なにしろ大接戦だから、どの激戦州でもムスリム有権者の奪い合いになる。ムスリム票の出方が結果を左右する一因になるのは間違いない」
米イスラム関係評議会も先に、レバノンでヒズボラの戦闘員を標的とする攻撃を続けるイスラエルへの武器輸出を止めるよう、バイデン政権に改めて要求している。
一方、共和党ユダヤ人連合のサム・マークスティーンはユダヤ系の票の出方も同じくらい重要だと言い、民主党はなりふり構わず、ムスリムにもユダヤ教徒にも取り入ろうとしていると批判した。「イスラエル支持の一本やりでは困ったことになるのが分かっている」から「支持を明言できない」という見立てだ。