勝敗を分ける250万のムスリム票の行方、激戦州ミシガンには「8万2000人以上のレバノン系米国人」
Protest Votes from Muslim Americans
激戦州に潜む2つの票田
全米に約600万いるユダヤ系有権者の立場も苦しい。ただし彼らの多くは中東の戦争より米国内の問題を重視しており、トランプになびく気配はほとんどない。
しかし激戦州のノースカロライナとペンシルベニア、ジョージアでは、ムスリムとユダヤの票が勝敗を左右しかねない。4年前にはバイデンがこのうち2州を制した。ただしジョージア州での票差はわずか1万1700。8万人近いムスリム有権者に見放されたら、今度は勝てない。
「最終的に決めてはいないが」とイクバルは言った。「このままなら、私はジル・スタインに入れる」
フィラデルフィア在住でムスリムの黒人女性アリヤ・カビル(45)はハリス支持だが、現政権の中東政策には反対だ。
ウクライナにはすぐ助け舟を出したのにガザ地区の犠牲者には知らんぷりのバイデン政権はおかしい、民主党も共和党も外交に関しては「公平でも公正でもない」と彼女は言い、ハリスには「その偏りを改めてほしい」と訴えた。
イスラム組織ハマスが昨年10月7日にイスラエル領内に侵入して約1200人を殺害、250人を拉致してから1年が過ぎた。その後のイスラエルからの猛攻で、ガザ当局によると4万2000人以上のパレスチナ人が殺されている。
ミシガン州ディアボーンに住むレバノン系米国人の弁護士マジェド・ムグニは期日前投票で「抗議票」を投じた。自分はベイルート生まれなので、故郷が「目の前で破壊されていく」ことに我慢できないからだ。