最新記事
ウクライナ戦争

北朝鮮製ミサイルに手を焼くウクライナ、ロシア領内のある兵器庫をドローンで徹底攻撃

Ukraine Goes After Russia's North Korean Arms Stockpiles

2024年10月10日(木)18時38分
エリー・クック

北朝鮮はロシアの「兵器工場」と化し、これまでにコンテナ数千個分の武器弾薬をロシアに密輸してきたと、アメリカと韓国当局は述べている。

北朝鮮の武器提供は「非常に悩ましいが、これまで打つ手がなかった」と、ウクライナ国防相情報総局のキーロ・ブダノフ局長は9月に明かした。

北朝鮮の武器弾薬がロシアに搬入されたとの情報が入ると、その数日後には決まって、前線でロシア軍が大規模な攻撃を開始する、とブダノフは言う。「われわれが直面している最悪の問題は、北朝鮮から来る」

西側がウクライナに供与した長距離兵器はロシア領内への攻撃には使えないことになっているが、ウクライナとしては何としてもロシアの兵器庫をたたきたい。

ウクライナ軍は最近、ロシア南部のクラスノダールと北西部のトベリ地方の兵器庫をドローンで攻撃した。ウクライナによれば、クラスノダール地方のチホレツクにある兵器庫は、ロシアの「三大弾薬庫の1つ」で北朝鮮が提供した弾薬も保管されているという。

国連安保理の制裁を受けているにもかかわらず、北朝鮮はロシア向けとみられるミサイル開発を急ピッチで進めている。ウクライナによれば、ロシアは昨年末からたびたび短距離弾道ミサイルKN-23などの北朝鮮製ミサイルをウクライナ領内に撃ち込んできている。

北朝鮮将校がロシアで「戦死」

ウクライナ保安庁は今年2月、ロシアは昨年12月末から20発超の火星11型ミサイル(KN-23とKN-24)をウクライナ領内に発射し、少なくとも20数人の民間人を殺害したと発表した。

ロシアが北朝鮮製ミサイルをウクライナ攻撃に使っているという公開、非公開の情報は山ほどあると、英シンクタンク・国際戦略研究所のフェービアン・ハインズ研究員は今年初め、本誌に語った。

韓国の金龍顕国防相は8日、北朝鮮がウクライナ戦争への介入を一段と深め、自国の兵士をロシアに派遣する可能性があると述べた。

金国防相は国会議員の質問に答えて、「ロシアと北朝鮮は軍事同盟に準ずる相互条約を結んだので、派兵の可能性は非常に高い」と語ったと、韓国メディアが伝えた。ロシアと北朝鮮は軍事協力の強化で合意し、今年6月「包括的戦略パートナーシップ条約を締結している。

ウクライナのメディア、キーウ・ポストは10月4日、匿名のウクライナ情報筋の話として、ウクライナ東部ドネツク州のロシアの実効支配地域で、ウクライナ軍のミサイル攻撃により北朝鮮軍の士官6人が死亡したと伝えた。

韓国の通信社・聯合ニュースの報道によれば、金国防相はこの情報について聞かれ、事実である可能性が高いと述べたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独GDP改定値、第3四半期は前期比+0.1% 速報

ビジネス

独総合PMI、11月は2月以来の低水準 サービスが

ビジネス

仏総合PMI、11月は44.8に低下 新規受注が大

ビジネス

印財閥アダニ、資金調達に支障も 会長起訴で投資家の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中