「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨大爆発」映像をロシア側が公開、その真偽は
Russia Deploys 'Largest Non-Nuclear Bomb' in Ukraine: Reports
@insiderUKR/Telegram
<ハルキウ州ボルチャンスクに投下された爆弾は「すべての爆弾の父」と呼ばれる燃料気化爆弾ODAB-9000だったのか? 公開された動画をめぐり議論が起きている>
ロシア軍が、ウクライナの町を攻撃する新たな動画が公開された。親ロシア派の情報筋は、この動画内に映し出されている巨大な爆発を起こしたのは、「核兵器を除く世界最強の爆弾」であり、「すべての爆弾の父」と呼ばれる燃料気化爆弾ODAB-9000だとしている。
■【動画】ロシア軍、「世界最強の非核兵器」を使用か...ハルキウ州での「巨大爆発」動画を公開、ウクライナ側は否定
ウクライナ北東部ハルキウ州の町ボルチャンスクに「真空爆弾」が投下されたという動画が、10月1日朝、ロシアとウクライナ双方のメディアで掲載され始めた。
ウクライナの報道機関インサイダーUAはテレグラムチャンネルにこの動画を投稿し、ロシアの軍事ブロガーの発言を引用する形で、この爆弾はODAB-9000だとしている。このODAB-9000なる爆弾は巨大な滑空爆弾で、「すべての爆弾の父」と呼ばれることもあるという。
動画では、画面右上から爆弾が落下し、すでに荒廃している街で爆発。周辺の建物に被害を与える様子が映し出されている。
一方、親ウクライナ派のテレグラムチャンネルもこの動画を共有しているが、動画の爆弾は別の燃料気化爆弾であり、より強力な爆弾が使用されたという言説は「ラシスト」が広めた嘘だと述べている。「ラシスト」とは、ロシア軍のメンバーや支援者を呼ぶ際のウクライナ側の表現だ。
「真空爆弾」とも呼ばれる燃料気化爆弾は、周囲から酸素を取り込み、激しい高温燃焼を起こす。国際法に焦点を当てた赤十字の学術誌インターナショナル・レビュー・オブ・ザ・レッドクロスによれば、民間人が暮らす市街地で燃料気化爆弾を使用することは戦争犯罪にあたる可能性がある。
「最強の非核兵器ODAB-9000が初めて使われた」は本当か
ロシアの「ミリブロガー(軍事ブロガー)」はこの動画を共有し続け、爆弾はODAB-9000だという主張を繰り返している。あるブロガーはODAB-9000を、「世界最強の非核兵器」と呼んでいる。
別の親ロシア派チャンネルは、この動画を共有したうえで、「ボルチャンスクで素晴らしいものを使う決定が下された。真空爆弾ODAB-9000だ。この戦争で初めての使用だ」と述べている。さらに、ウクライナ人を差別用語で呼びながら、「(彼らのうち)生き残った者はいないだろう」と続けている。
これらの主張に対し、ハルキウ州作戦戦術部隊(OTU)のテレグラムチャンネルが反応した。ハルキウ州OTUのテレグラムチャンネルは、「ロシア占領軍がボルチャンスクで滑空爆弾ODAB-9000を使用したという情報は事実ではない」と述べたうえで、報道官ヴィタリー・サランツェフの声明を引用した。
「この兵器を使用するには、適切な航空機が必要だ。理論的には、戦略爆撃機Tu-160などが考えられるが、そのような航空機の移動は記録されていない」「重量も威力ももっと小さい兵器が使用された。その爆発は、プロパガンダとして、『壮観』な写真をつくるために利用された」