最新記事
中東

ハマス最高指導者ハニヤ氏が訪問先イランで暗殺される...ガザ停戦協議に影響か

2024年7月31日(水)19時04分
イスマイル・ハニヤ最高指導者

7月31日、イスラム組織ハマスは、イスマイル・ハニヤ最高指導者がイランの首都テヘランで暗殺されたと発表した。写真は3月、イランのテヘランで撮影。提供写真(2024 ロイター/WANA)

イスラム組織ハマスは31日、イスマイル・ハニヤ最高指導者がイランの首都テヘランで暗殺されたと発表した。イラン革命防衛隊もハニヤ氏の死亡を確認した。

ハニヤ氏は30日に行われたイラン新大統領の宣誓式に出席したという。

革命防衛隊は「今朝早く、テヘランのハニヤ氏の住居が襲撃され、同氏と護衛の1人が死亡した。原因については調査中であり、結果はまもなく発表される」とした。


 

イランのメディアによると、イランのペゼシュキアン大統領は「領土の一体性、尊厳、名誉、誇りを守り、テロリストの占領者たちに卑怯な行為を後悔させる」と強調した。

イスラエルはコメントを出していない。イスラエル軍は、状況評価を行っているが、民間人に対する新たな安全ガイドラインは発表していないとした。ネタニヤフ首相は正午(0900GMT、日本時間午後6時)に安全保障当局者と協議する予定。

オースティン米国防長官は、緊張緩和に取り組む考えを示すとともに、イスラエルが攻撃された場合の防衛支援を約束した。

訪問中のフィリピンで記者団に「戦争が避けられないとは思わない。それは変わらない。外交の余地と機会は常にある」と語った。

イスラエルは30日、レバノンの首都ベイルートを空爆し、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの司令官を殺害したと発表したばかり。これに続くハニヤ氏殺害を受け、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意の可能性は後退しそうだ。

ハマスの幹部サミ・アブ・ズーリ氏はロイターに対し「イスラエルによるハニヤ氏暗殺はハマスの意志をくじくことを狙った重大なエスカレーションだ」と非難。

その上で、ハマスは進んできた道を今後も続けるとし、「われわれは勝利を確信している」と述べた。

ガザ停戦協議を仲介しているカタールはハニヤ氏殺害について、紛争の危険なエスカレーションと非難。中国とロシアも暗殺を非難した。

関係筋によると、イランの最高安全保障委員会は近く会合を開き、同国と密接な関係にあったハニヤ氏の死への対応を決める見通し。

パレスチナ自治政府のアッバス議長はハニヤ氏の殺害を非難。ヨルダン川西岸のパレスチナ諸派はストライキと大規模デモを呼びかけている。

ハニヤ氏は2017年にハマスの最高指導者に選出された。トルコとカタールの首都ドーハを行き来しながら停戦協議の交渉官を務め、イランと対話を続けてきた。

ハマスでは今年に入って、ハニヤ氏の副官の立場だったサレハ・アルーリ氏がイスラエルによって殺害されている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250204issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月4日号(1月28日発売)は「トランプ革命」特集。大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で、世界はこう変わる


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領側近、米特使の「停戦と選挙」だけの

ワールド

北朝鮮がルビオ氏の発言に反発、米国の新ミサイル防衛

ワールド

トランプ氏、関税は米国民に「ある程度の痛み」もたら

ワールド

マスク氏側近、米人事管理局幹部に政府職員の個人デー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 5
    メーガン妃からキャサリン妃への「同情発言」が話題…
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 9
    トランプ「関税戦争」を受け、大量の「金塊」がロン…
  • 10
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中