最新記事
米大統領選

「とにかくバイデンよりまし」激戦州ウィスコンシンの有権者に直撃取材...ハリスへの評価は?

HEARTLAND VIEWS

2024年7月31日(水)16時40分
ダン・コイス(スレート誌記者、作家)

トランプの名前は禁句?

これを機に、シダーバーグだけでなく、オゾーキー全体で民主党の勢いが増していくことをダッソウは願っている。

その助けになりそうなのは、人口動態の変化だ。「昔のようにドイツ系やベルギー系、ルクセンブルク系ばかりではない。それが選挙の結果を変えている」と彼女は言う。

20年大統領選で、僅差とはいえバイデンがシダーバーグを制したことは、左派を大いに勢いづけたと、ダッソウは考えている。「勝利がさらなる勝利につながる」

母の自宅と同じ通りにあるハンバーガー店には、地元共和党の幹部2人が集まっていた。ハリスが民主党の大統領候補になっても、「同じようにやるだけだ」と、地元支部の第1副議長で元チーズ会社重役のリック・スターンハーゲンと、金融機関に勤めるメリッサ・アブラモビッチ第3副議長は声をそろえる。

newsweekjp_20240731074807.jpg

シダーバーグ市共和党幹部のメリッサ・アブラモビッチ(左)とリック・スターンハーゲン DAN KOISーSLATE

ダッソウが快活でユーモアたっぷりだったのに対して、共和党幹部はビジネス界出身のお堅い人たちという印象だ。「(民主党政権の)お粗末な政策や提案を強調していく」とスターンハーゲンは言う。「ずっとこの方針でやってきた。劇的な変更が必要だとは思わない」

とはいえ、共和党にかつてのような圧倒的強さがないことを2人は認める。「大学教育を受け、成功したホワイトカラーの人たちが、結婚して子供が生まれたのを機に都会から引っ越してきている」とスターンハーゲンは言う。「それが(選挙結果に)違いをもたらしている」

どちらも共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領の名前を口にしなかったことに気が付いたのは、2人と別れた後だった。

シダーバーグの軽食店でハッシュドポテトを食べながら、母は、「バイデンに頑張ってほしかった」と語り出した。「ABCの朝の情報番組『ザ・ビュー』を見ていたら、司会者の女性の1人が、『カマラ・ハリスで(トランプに)勝てるのか、とても心配だ』と言っていた。『女性だし、黒人だから』とね」

「でも、今はカマラが大統領候補になったことに興奮している」と、母は気を取り直したように言った。「ただ、(ハリスは)ろくでもないことを言われるでしょうけどね」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

フジ・メディアHD、業績下方修正 フジテレビの広告

ビジネス

武田薬、通期の営業益3440億円に上方修正 市場予

ビジネス

ドイツ銀行、第4四半期は予想以上の減益 コスト削減

ビジネス

キヤノン、メディカル事業で1651億円減損 前12
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 3
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? 専門家たちの見解
  • 4
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 7
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 8
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 9
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中