麻薬組織に協力、投票結果も操作...「稀代の悪」ホンジュラス前大統領に禁錮45年
密輸への関与で有罪になったエルナンデス(写真中央) JORGE CABRERA/GETTY IMAGES
<麻薬絡みの資金で当局者を買収、大統領選で投票結果も操作。20年前から麻薬組織と協力してきた「麻薬国家」の前大統領にアメリカが有罪判決>
アメリカにコカイン数百トンを密輸する麻薬組織に軍や国家警察の動員を許可した──。ニューヨークの連邦地裁は6月26日、中米ホンジュラスのエルナンデス前大統領(55)に、禁錮45年と罰金800万ドルの有罪判決を言い渡した。
米司法省によれば、故国を「麻薬国家」として運営したエルナンデスは20年前から麻薬組織と協力。地方政治家から大統領の座に上り詰めたキャリアを通じて、巨額の賄賂を受け取っていた。麻薬絡みの資金は当局者を買収し、自身が出馬した2013年と17年の大統領選で投票結果を操作するのに使われたという。
量刑言い渡しの際、エルナンデスは無実を主張。しかし証人として出廷した密輸業者らは、メキシコの「麻薬王」ホアキン・ “エル・チャポ” ・グスマン(アメリカで終身刑で服役中)も、エルナンデスの庇護下にあったと証言した。
ホンジュラスは麻薬犯罪があおる汚職や暴力と格闘中だ。今回の有罪判決が、同国にとって持つ意味は大きい。