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「悪名は無名に勝る...」売名の祭典と化した都知事選の源流は11年前の「選挙フェス」にあった

A POPULIST PARADE

2024年6月25日(火)18時47分
石戸 諭(ノンフィクションライター)

彼らが訴える建前は話半分で受け止めるくらいでちょうどいい。

「恥を知れ」「政治屋を一掃したい」という言葉が注目された前安芸高田市長の石丸伸二であっても、現状は小ポピュリストであるという評価が適切だろう。

市議会との対立構図をつくった先に注目されたメディアがYouTube、あるいはSNSということは新しいかもしれないが、既成政党への不信感に訴えかける言葉自体に新しさは何もない。

むしろ、60年ほど前の東京都知事選で確立されて以降繰り返されている「政党色、組織色を消す」「特徴的イメージをつくる」というクラシックなパターンを新しいメディアを使ってなぞっているにすぎない。


ちなみに前回の都知事選に立候補した山本は、今回の都知事選は距離を置いたようだ。静観すると公言し、熱心な地方行脚にいそしんでいる。

独自候補を立てたところで当選の見込みは薄く、特定候補の支援に回れば利用されるだけで終わる選挙に加わることなく足場固めにいそしむのは、ポピュリストというより、ごく普通の政治家の活動だ。私は彼の政策や主張に全面的に賛同することはないが、地道さは否定しない。

選挙には祭り的な要素はある。だが、イコールでは結ばれない。祭りは盛り上がった後に日常が戻ってくるが、政治には終わりがないからだ。

やはり、選挙は「フェス」ではない。そんな当たり前のことから言わなければいけないところにこそ、大きな問題があるのだが......。

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