ウクライナ侵攻後、難民危機と闘う女性たちの「リアル」
NGOS NEED MORE FUNDING
IJSCによれば、援助対象の途上国を拠点とする現地NGOや市民団体には、人道援助資金の2%しか提供されていない。女性や少女がリーダーを務める団体への資金提供はさらに少ない。私たちの調査に回答した団体のうち、今年計画している活動を実施する資金が十分にあると答えたのは、わずか12%だった。
「最大の懸念は、ウクライナでジェンダーに基づく暴力関連のサービスを提供するウクライナ人主導の団体が今年末までになくなること」だと、マールティンカ財団の創設者ナスチャ・ポドロズニャは言う。
筆者らが調査した団体の4分の3近くは、もしリソースがあればジェンダーに基づく暴力の被害者向けサービスを拡大する意向を示した。モルドバのある団体は、「リソース不足のため(ジェンダーに基づく暴力に)効果的に対処できないことがよくある」と訴えた。リソースが提供されても遅すぎるケースもあり、そのため課題が陳腐化したり、被害者が引きこもり、希望を失い、対話に参加しなくなったりする。
国連自身の基準でも、ジェンダーに基づく暴力への対応は資金不足が続いている。この事態は回避できたはずだった。他の紛争や災害と違い、国連はロシアによる侵攻の脅威が高まった14年以来、ウクライナの地元団体との関係を強化していた。ウクライナの近隣諸国でも、活力ある女性のための運動が育っていた。
つまり、国際社会は現地の組織との関係を一気に飛躍させる絶好のチャンスに恵まれていたのだ。その時点で現地の女性運動や団体との関わりを優先し、意思決定プロセスへの積極的参加を促すべきだった。しかし、私たちが調査した女性の権利団体によれば、このチャンスはほとんど生かされていない。
危機にふさわしい対応を
「現地化」の約束にもかかわらず、女性主導の団体は今も蚊帳の外に置かれたままだ。ロシアの侵攻が引き起こした危機は終わっていない。数百万人が周辺地域で避難生活を続け、トラウマと喪失感を抱えたまま、基本的ニーズの確保に苦労している。戦争が終わった後はどうなるのかという疑問も、ウクライナ人にとって依然として大きな問題だ。
ロシアの侵攻開始前、ポポビチ率いるRCTVメモリアは年間300人以上の被害者を支援していた。侵攻後の昨年にはウクライナ難民だけでその10倍、3000人以上の支援を行った。日中は被害者にサービスを提供し、夜間は事務作業を行い、ボランティアを動員し、休暇も週末もなく働いた。