最新記事
米大統領選

大統領選討論会で大惨事を演じたバイデンを、民主党が差し替える3つの方法

Biden Must Drop Out

2024年6月29日(土)19時20分
デービッド・ファリス(米ルーズベルト大学政治学部准教授)
バイデン

今すぐバイデンは身を引くべきだ(6月27日の討論会後、夫人と共に退場) BRIAN SNYDERーREUTERS

<米大統領選テレビ討論会は、バイデン大統領と民主党にとって比類なき大惨事だった。極めて異例だが、バイデンが撤退して他候補と交代する時間的な余裕はまだ十分にあり、その方法は3つある>

6月27 日に行われた米大統領選テレビ討論会は、バイデン大統領と民主党にとって、そしてこの国の民主主義の未来を案じる全ての人にとって、現代アメリカ政治史上比類のない大惨事だったと言わざるを得ない。トランプ前大統領との討論に臨んだバイデンは、救いようがなく混乱していて、見る者の不安をかき立てた。

バイデンは直ちに身を引くべきだ。11月の本選挙を戦う民主党の大統領候補を正式に決める民主党全国党大会の開幕は8月19日。バイデンが大統領選から撤退して、ほかの誰かと交代する時間的な余裕はまだ十分に残されている。

確かに、極めて異例のことではある。アメリカの歴史上、これほど選挙が近くなった時期に大統領候補を差し替えた経験は、民主党にも共和党にも前例がない。それでも、方法は3つある。

1つは、いまバイデンが大統領を辞任するというもの。奇想天外な発想に思えるかもしれないが、さまざまな面で最も簡単なのはこの方法だ。

今すぐバイデンが辞任してハリス副大統領が大統領に昇格すれば、ハリス新大統領は党大会までの6週間ほどの間に、新たに勢いをつくり出し、支持基盤を固め、現職としての求心力を発揮できるかもしれない。政治手腕を疑う声も多いが、副大統領であることの足かせから解き放たれれば、そうした懸念を払拭する活躍を見せる可能性もある。

もしハリスがバイデンよりわずかでも人気があれば、すんなりと大統領候補に指名されるだろう。世論調査分析サイトの「ファイブサーティーエイト」によれば、支持率と不支持率の差を見ると、現時点でのハリスの不人気度は、バイデンとトランプの両人よりも低い。

もう1つの方法は、バイデンが(即時の大統領辞任はしないものの)再選を目指さないと表明するというものだ。その決断の理由としては、健康問題や家庭の事情(バイデンの息子は3つの重罪で有罪評決を受けばかりだ)を挙げてもいいし、若い世代にバトンタッチすべきだと突然ひらめいたと言ってもいいだろう。

この場合、党大会でバイデンに投票することになっていた代議員たちは、誰に投票するかを自由に選ぶことができる。ハリスや、カリフォルニア州のニューサム知事、ミシガン州のウィトマー知事、ブティジェッジ運輸長官などの面々の間で、直ちに激しい競争が始まるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、ベラルーシの報告を懸念 ウクライナが国境で

ビジネス

エールフランスKLM、パリ五輪が夏季の収入圧迫へ

ビジネス

ブラックロック、英データ会社プレキン買収 32億ド

ビジネス

英消費者信用、5月は4カ月ぶり大幅増 住宅ローン承
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:小池百合子の最終章
特集:小池百合子の最終章
2024年7月 2日号(6/25発売)

「大衆の敵」をつくり出し「ワンフレーズ」で局面を変える小池百合子の力の源泉と日和見政治の限界

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 3
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」...滑空爆弾の「超低空」発射で爆撃成功する映像
  • 4
    大統領選討論会で大惨事を演じたバイデンを、民主党…
  • 5
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 6
    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…
  • 7
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地.…
  • 8
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 9
    ウクライナ軍がロシアのSu-25戦闘機を撃墜...ドネツ…
  • 10
    ニコール・キッドマン娘、母親と「双子コーディネー…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
  • 3
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「帰ってきた白の王妃」とは?
  • 4
    ウクライナ戦闘機、ロシア防空システムを「無効化」.…
  • 5
    ミラノ五輪狙う韓国女子フィギュアのイ・ヘイン、セク…
  • 6
    ガチ中華ってホントに美味しいの? 中国人の私はオス…
  • 7
    「大丈夫」...アン王女の容態について、夫ローレンス…
  • 8
    キャサリン妃は「ロイヤルウェディング」で何を着た…
  • 9
    衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレ…
  • 10
    貨物コンテナを蜂の巣のように改造した自爆ドローン…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に
  • 3
    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア
  • 4
    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…
  • 5
    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…
  • 6
    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…
  • 7
    新型コロナ変異株「フラート」が感染拡大中...今夏は…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…
  • 9
    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…
  • 10
    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中