最新記事
反イスラエル

ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継では聴こえなかった大ブーイング動画が拡散

Israel's Eurovision Contestant Booed and Jeered Amid Cheers, Videos Show

2024年5月13日(月)16時32分
ゲイブ・ウィズナント
ユーロビジョン・ソング・コンテスト決勝でブーイングを浴びるイスラエル代表、エデン・ゴラン

ユーロビジョン・ソング・コンテスト決勝でブーイングを浴びるイスラエル代表、エデン・ゴラン(5月11日、スウェーデンのマルメ)   REUTERS/Leonhard Foeger

<欧州最大の国別対抗音楽祭へのイスラエル参加に、ボイコットを求める声が続出。決勝の舞台ではイスラエル歌手の勇気に称賛も>

5月11 日にスウェーデンのマルメで開催された欧州最大の国別対抗音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝に出場したイスラエルのソロ・アーティスト、エデン・ゴラン(20)は、自作の曲「ハリケーン」を披露し、すさまじいブーイングを浴びた。

【動画】ユーロビジョン会場を揺るがすイスラエル歌手への大ブーイングが可視化した分断


アリーナ内からX(旧ツイッター)に投稿された数多くの動画には、その大ブーイングと、「パレスチナに自由を!」というコールが連鎖する様子が映し出されている。生中継では聞こえなかった。

一方、アリーナ内からの報道によると、ゴランは多くの喝采を浴び、イスラエル国旗を振るファンもいたという。

2023年10月7日にパレスチナの過激派組織ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けて以来、世界中で緊張が高まっている。イスラエルはハマスへの報復として、ガザに対する最も激しい空爆を開始した。AP通信によると、ハマスの攻撃で少なくとものイスラエル人1200人が死亡した。一方、ガザ保健省によれば、イスラエルの空爆でガザに住むパレスチナ人3万人以上が死亡したという。

タイムズ・オブ・イスラエル紙のエイミー・スピロ記者がXに投稿した動画には、決勝のパフォーマンスを終え、支持者に囲まれて感極まるゴランの姿が映っている。ゴランはイスラエル国旗を持ってステージをパレードした。

元タイトルは「10月の雨」

ゴランは5位に入賞し、11日の午後にはソーシャルメディアにたくさんの支持の声が寄せられた。イスラエルの作家ヘン・マツィグはXに投稿した。

「いろいろなことがあった後で、この驚くべき20歳の天使は、多くのブーイングを浴びながら、全ヨーロッパを前にステージに立ち、私たちはユダヤ人を非難する連中が言うような存在ではないことを思い知らせた。私たちは強く、たくましい」

ゴランは、ユーロビジョンの決勝前に、映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でワンダーウーマンを演じたイスラエル人女優ガル・ガドットからも電話を受けた。

「私にはたくさんのアンチがいる。私のせいで映画がボイコットされた国もある。そんなことはどうでもいい。ヘイトをばらまく人間のほうが負けなんだから」と、ガドットはゴランに語ったという。

イスラエルを締め出そうという抗議は、音楽祭の前から続いていた。

ロイター通信によると、ゴランの曲名はもともと「10月の雨」だったが、大会前に「ハリケーン」に変更した。ユーロビジョンの主催者が元のタイトルは、明らかに10月7日のハマスの攻撃を意味していると感じたからだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中