「誰もが見物できる」ロシア、鹵獲したM1エイブラムスをモスクワで展示へ...「撃破の瞬間」とする映像も公開
Russia to Display Captured US-Made Abrams Tank 'Trophy' in Moscow
米国製戦車M1エイブラムス M2M_PL-Shutterstock
<ロシア国防省は、2発のミサイルでエイブラムスを破壊したとする場面を公開>
ロシア当局は4月29日、ロシア軍がウクライナ軍から鹵獲したアメリカ製の戦車「M1エイブラムス」を近くモスクワで展示すると発表した。
【動画】ロシアがM1エイブラムス戦車「撃破の瞬間」とする映像...鹵獲し、モスクワで展示へ
ロシア国防省はその後、エイブラムス撃破の場面とする映像を公開した。ロシア国営メディアのRTは「戦利品戦車」と紹介している。
これに先立ちAP通信は先週、エイブラムス戦車がドローン攻撃に弱いことが分かり、アメリカがウクライナの前線からエイブラムスを撤収させると伝えていた。
AP通信によると、2023年1月以来、アメリカがウクライナ軍に供与したエイブラムス31両のうち、既に5両が戦闘で失われたという。エイブラムス戦車はウクライナ政府から数カ月にわたって何度も要請されたことを受けて供与されていた。
ロシア軍「中央部隊」のアレクサンドル・サブチュク報道官はモスクワで展示予定の戦車について、ロシアがウクライナの戦場から避難させた初のエイブラムスと紹介。「中央部隊の戦闘員が戦車を前線から避難させることに成功した。間もなくモスクワのポクロンナヤの丘に展示され、誰もが見物できるようになる」とRIAノーボスチ通信に語った。
RIAノーボスチ通信は、「NATO (北大西洋条約機構)装備品」の展示は5月1日から一般公開されるとした。ドイツの主力戦車「レオパルト2」、ドイツの歩兵戦闘車「マルダー」、スウェーデンの歩兵戦闘車「CV90」、フランスの装甲戦闘車「AMX-10RC」、およびイギリス、南アフリカ、フィンランド、オーストラリア、オーストリア、ウクライナ製の各種装備品を展示される。(編集部注:モスクワの戦勝記念公園で1日から開催されている)
エイブラムスを鹵獲した場面とするロシア国防省の白黒映像には、対戦車誘導ミサイルが目標に向けて発射される様子が映っている。爆発の後、別のミサイルが標的に向けて発射され、再び爆発を引き起こした。
ロシア国防省は、この戦車を撃破したのはロシアが支配するドンバス地方のアウディーイウカ近郊だったと発表した。アウディーイウカでは激しい戦闘が数カ月にわたって続き、ここ数日もロシア軍の前進が伝えられている。
アメリカのシンクタンク戦争研究所(ISW)は4月28日、「最近のロシアのアウディーイウカ北西部での前進」によって、ウクライナは前線からの撤退を余儀なくされていると分析した。ただし、この撤退によって「ロシアが急激に戦術上有利になる状況には至っていない」と指摘。「ロシア軍が近々この地域で作戦上重要な侵攻を深める可能性は依然として低い」としている。
(翻訳:鈴木聖子)
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