最新記事
注目ニュースを動画で解説

アメリカで爆発的に広がるスポーツ賭博、若者を夢中にさせる「インゲーム・ベット」とは?【アニメで解説】

2024年4月30日(火)17時57分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
アメリカで拡大するスポーツ賭博

Newsweek Japan-YouTube

<大谷翔平・水原一平騒動で話題となったスポーツ賭博。アメリカで大ブームとなった背景やスポーツ界に広がる不祥事について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

MLBロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の銀行口座から1600万ドル(24億5000万円)以上が違法賭博業者の手に渡った。元通訳の水原一平がギャンブルでの借金を穴埋めするために大谷のカネを盗んでいたことは連日メディアで報じられ、世間を騒がせた。

アメリカでは今日、スポーツ賭博が爆発的に拡大しつつある。これに伴い、ギャンブル依存症の問題も深刻化している。「大ブーム」となった経緯、スポーツ界に広がる不祥事とは──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「大谷水原騒動で注目、米スポーツ賭博はなぜ「無法地帯」になったのか?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

◇ ◇ ◇

「大ブーム」の発端

アメリカにおけるスポーツ賭博は、2018年に米連邦最高裁判所が「スポーツ賭博の規制は各州の判断に委ねる」という判決を出したことをきっかけに急速に広がった。スポーツ賭博が現在合法化されている地域は、アメリカ国内38州、首都ワシントン、米自治領プエルトリコだが、禁止州においても違法賭博が行われており、その規模や実態については明らかになっていない。

newsweekjp_20240426081831.jpg

スポーツ界で相次ぐ不祥事

テクノロジーの進歩により、スポーツ賭博の対象は試合結果だけでなく世界中のスポーツ選手のプレイや試合中の特定の動きへと拡大している。

newsweekjp_20240426084935.jpg

スポーツ賭博の拡大の影響か、昨年にはNFLでギャンブル規定違反によって出場停止処分が下る選手が続出。アイオワ大学とアイオワ州立大学の選手と同校出身の元アスリート、20人以上が違法賭博容疑で告訴される運びとなった。

賭博愛好者には「耐性」が付く。そのため以前と同じ興奮を得るためには掛け金を増やし続けるしかない。全米ギャンブル依存症対策協議会(NCPG) のキース・ホワイト事務局長によると「負けた場合も、勝ったときとほとんど変わらないほど心理的に興奮し、ほぼ同程度のドーパミンが放出される」という。

newsweekjp_20240426084747.jpg

後れを取る法制化の動き

専門家は特に、アメリカ国内における若年男性層へのスポーツ賭博の広がりを不安視している。スポーツ賭博が合法化されている州の大半は21歳以上という制限を設けているものの、家族や友人のアカウントを利用して規制を潜り抜ける者も多い。

newsweekjp_20240426085801.jpg

また、スポーツ賭博を行う若者の約9割が夢中になっている「進行中の試合への賭け」である「インゲーム・ベット」は衝動的な浪費のリスクが最も高いとされている。

今年1月、米下院ではギャンブル依存症回復・投資・治療(GRIT) 法案が提出された。しかし、法制化の動きはテクノロジーの向上に伴うスポーツ賭博拡大の勢いに追い付けていない。

■より詳しい内容については動画をご覧ください。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物5週間ぶり高値、トランプ氏のロシア・イラン

ビジネス

トランプ関税で目先景気後退入り想定せず=IMF専務

ビジネス

トランプ関税、国内企業に痛手なら再生支援の必要も=

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中