南米の古代人、キツネをペットとして飼っていた? 人骨と共に埋葬された骨格を発見
Archaeologists Think Ancient South Americans May Have Kept Foxes as Pets
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(写真はイメージです) caroline legg-Flickr
<この発見は人が犬と同じようにキツネとも親密な関係にあったことを物語る>
南米の古代人類はキツネをペットとして飼育していた可能性がある――。考古学研究チームがそんな論文を発表した。
【画像】南米の古代人、キツネをペットとして飼っていた? 人骨と共に埋葬された骨格を発見
この発見は、南米アルゼンチンのパタゴニア北西部にある墓地「カニャーダ・セカ」の発掘にさかのぼる。ここではかつて、動物と一緒に埋葬された紀元450年ごろの人骨が複数出土していた。
英王立協会のオープン・サイエンス誌オンライン版に発表された論文によると、墓には大人18人と年少の6人の一族が埋葬されていたほか、犬数匹と、「Dusicyon avus(D. avus)」と呼ばれる絶滅種のキツネ1匹の骨格が見つかった。
これは人が犬と同じようにキツネとも親密な関係にあったことを物語る。さらに、この種のキツネがそれまで考えられていた生息地よりさらに北にも分布していたことも分かった。
研究者は論文にこう記している。「本研究では、古代DNA解析、形態学的検査、安定同位体解析(デルタ13Cおよびデルタ15N)を用い、カニャーダ・セカの後期完新世の埋葬地で発見されたイヌ科動物の分類を再検証した」
「過去の形態学的識別では、これがスジオイヌ属(Lycalopex)に分類されるとしていたが、我々の調査の結果、この個体が絶滅種のキツネであるフォークランドオオカミ属(Dusicyon avus)だったことが確証的に証明された」
論文によると、骨格や遺伝子情報の新たな解析を通じ、この古代人類が絶滅種のキツネと一緒に埋葬されていたことが分かった。イヌ科動物のうち11種は今も南米に生息しているが、フォークランドオオカミ属に分類される2種(D. avusとDusicyon australis)は絶滅した。
古代人類と一緒に埋葬されていたD. avusは中型のキツネのような姿をしていて、体重は10キロ前後。500年ほど前に絶滅したと思われる。
「D. avusの絶滅は、気候変動と人為的影響の増大による地理的分布の減少に起因すると思われる」と論文は解説している。
「南米で紀元前5000年ごろ、家畜犬が先住民によってメソアメリカから持ち込まれ、紀元前700-900年ごろパタゴニアに到来したことで、この2種の交配が起こり、絶滅のさらなる一因となった可能性がある」
人や犬と一緒に墓からこの種のキツネが出土したことは、当時の人類が役に立つ動物、あるいはペットとみなしていたことを物語る。
「人骨との密接な関係や、共通する食事パターンは、これが貴重な存在で、完新世後期、狩猟採集に同伴する仲間あるいはペットだった可能性を示唆する。さらに、この共同埋葬の記録は、過去に記録されていた完新世における狩猟採集民とD. avusの間の象徴的相互関係の延長でもある」
加えて、これまでにD. avusが見つかった場所の中で、カニャーダ・セカは最北に位置していた。
この種のキツネはイヌ科動物の影響で絶滅した可能性があるものの、カニャーダ・セカでの家畜犬との相互関係がD. avusの絶滅につながったわけではないらしい。
「D. avusと飼い犬との相互関係については、もし交配や混合があったとしても、生存可能で繁殖力のある交配種の子孫が存在しないことから、このプロセスはD. avusの絶滅における決定的な要因ではなかったと思われる」と論文は推察している。
「交配が個体群の動態にある程度の影響を及ぼした可能性はある。しかし繁殖力のある子孫がいないことから、絶滅への影響は限定的だったと思われる」
(翻訳:鈴木聖子)
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