最新記事
兵器

「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

Ukraine's Devastating Thermobaric Drone Wipes Out Russian Target

2024年4月7日(日)13時00分
エリー・クック
ウクライナ軍のFPV(一人称視点)ドローン

ウクライナに提供されたFPVドローン(2024年2月) Viacheslav Ratynskyi-Reuters

<強力な破壊力を持つ燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)は今回の戦争で、ウクライナとロシア双方に使用されている>

ウクライナ軍のFPV(一人称視点)ドローンが燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)を使って、ロシア軍が占拠する建物を攻撃した瞬間だとされる新たな映像が公開された。ウクライナの攻撃ドローンが平屋の建物に窓から突入すると、その直後に強力な爆発が発生し、一瞬にして建物が崩壊したように見える。

■【動画】「燃料気化爆弾」ドローンが砲弾不足のウクライナを救う? ロシア軍拠点を「木端微塵」にする衝撃の瞬間

この映像はウクライナ軍の第28機械化旅団が撮影したもので、ネット上で拡散している。第28機械化旅団が投稿したより長い映像は、この建物に向かうFPVドローンからの映像と見られ、その後、飛行中の別のドローンからの映像に切り替わる。

本誌はこの映像の信ぴょう性を独自に確認できておらず、第28機械化旅団にコメントを求めている。

燃料気化爆弾は、ウクライナ戦争の開始直後から使用されており、二度の爆発によって通常兵器よりも破壊的な効果をもたらす。

FPVドローンはウクライナにとって、ロシアよりも速く、優れている無人機を、より多く開発する競争の要だ。ドローンがロシア軍の車両に向かって爆発するドラマチックな戦場の映像を記録するのに使われたり、砲撃を誘導する偵察ツールとして配備されたりしている。

ウクライナ軍の弾薬はロシア軍の5分の1程度

軍事専門家のデービッド・ハンブリングによれば、ウクライナが燃料気化爆弾を搭載したFPVドローンを大量に製造しているため、最近ではそれらのドローンの攻撃を目にする機会が増えているという。

「ウクライナはロシアの防衛陣地を攻撃する際、砲弾不足を補うために、大きな爆風効果を持つ精密なドローンを使用する可能性がある」とハンブリングは本誌に語った。

ウクライナの東部と南部で2年以上続いている地上戦では、大砲とその弾薬が重要な役割を担っている。だがウクライナ政府高官や欧米のアナリストは、ロシア軍が西に進撃する中、ウクライナは砲弾不足によって作戦の制限を余儀なくされていると指摘する。ウクライナ軍の弾薬は、ロシア軍が使用可能な弾薬の5分の1程度と考えられている。

ウクライナはこの差を埋めるため、ドローンに燃料気化爆弾を搭載するなど、新しい戦術に目を向けていると、ハンブリングは述べる。

燃料気化爆弾は「地下壕や塹壕、建物の中にいる部隊を攻撃する場合に選ばれる」とハンブリングは説明する。一方のロシア軍は、燃料気化爆弾の弾頭を搭載したドローンはまだ使用していないとみられるという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中