トランプ支持者は噓をつく? もしトランプが4件の裁判で有罪になったら...
Are Voters Just Lying?
いなかった「隠れトランプ支持者」
CNNによれば現在、共和党支持者の50%がトランプによる2020年大統領選の結果を覆す試みを非倫理的または違法だったと見なしている。その一方で、70%以上がトランプは共和党の大統領候補になるべきだと思っているという調査結果が頻繁に伝えられる。
世論調査に回答する有権者は「トランプが有罪になったら支持しない」と言わなくてはならないと、何らかの理由で思っているのではないか?
その点に関係するのが「隠れトランプ支持者説」だ。2016年の大統領選では、世論調査で劣勢だったトランプがヒラリー・クリントンに勝利した。その時、実は多くの人がトランプを支持していながら、社会的な体裁を考えて公にすることをためらい、調査でトランプ支持だと言わなかったのではないかという見方が浮上した。
だが選挙後に全米世論調査協会が数百件の世論調査のデータを精査し、「隠れトランプ支持者」が存在した証拠はないと結論付けている。
そして、この調査に関わった専門家の一部は、今年の選挙前にトランプが有罪になった場合、本当に世論調査に表れているほど支持率は下がるのかと疑問視している。
「『トランプが有罪になった場合でも彼に投票するか』という仮定に基づく質問はよくない」と、米マーケット大学法科大学院の世論調査責任者チャールズ・フランクリンは指摘する。「起こらないかもしれない状況でどう行動するかを予測させると、人はその状況の影響を大げさに評価する傾向が強い」ためだという。
別の選択肢も見当たらず
世論調査機関ユーガブのマーク・ブルメンサルは、トランプのケースを考える上で参考になるかもしれないとして、1998年に当時のビル・クリントン大統領が弾劾訴追された際の世論調査を引き合いに出した。
クリントンが不倫問題で偽証したことを理由に米下院が弾劾訴追案の採決を行う直前、CBSは世論調査を実施し、クリントンはスキャンダルを理由に辞任すべきかと尋ねた。この調査では、クリントンは下院に訴追されたら辞任すべきかとも尋ねた。
すると回答者の約70%が「辞任すべきではない」と答え、残りの約30%が「辞任すべき」と答えた。「辞任すべきではない」と回答した人の一部は、弾劾訴追されれば辞任すべきだという考えを示した。その数は、全回答者の10%を上回っていた。
間もなく米下院がクリントンを弾劾訴追したため、それによって「辞任すべき」と考える有権者が本当に増えたかどうかを検証できた。すると調査とは異なり、「辞任すべき」と考える有権者は増えず、約30%にとどまっていた。