最新記事
北朝鮮

「北朝鮮は韓国を攻撃しない」という常識もはや過去? 南北が激突したら強いのはどちらか

How North and South Korean Militaries Compare

2024年1月24日(水)16時46分
エリー・クック

だが話はそれで終わりではない。北朝鮮の通常装備の多くはソ連時代の古いもので、韓国の洗練された技術力、特に航空戦力とはかけ離れている、とヨウは本誌に語った。

韓国と北朝鮮が通常兵器で戦う場合、同盟国アメリカの支援がなくても「韓国は自力で持ちこたえられるという前提がある」とヨウは言う。

 

北朝鮮の軍隊は、その規模の大きさの割に、韓国がアメリカのような国との軍事演習を通じて得た訓練の経験の広さに欠けている、とヨウは言う。アメリカインド太平洋軍(USD-APC)の発表によると、アメリカは最近、韓国、日本との合同演習を終え、「連合軍としての能力をさらに強化する」ことを目的とした米空母打撃群を配備した。

「数だけでなく、軍備の質や能力も重要だ」とヨウは言った。

北朝鮮の弾道ミサイル発射実験は、韓国、アメリカ、日本にとって最大の懸念材料だ。米国防情報局によると、金総書記は権力の座に就いて以来、北朝鮮の通常兵器の増強に注力し、核実験と国内のミサイル開発を進めてきた。

核実験は2022年に急増し、2023年にはペースは落ちたものの継続されている、とヨウは述べた。

そして、2024年になっても状況は変わらないことが明らかになった。米軍は1月14日に北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行ったことを発表し、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の不正な兵器開発計画が不安定化させる影響」を示したと述べた。

戦争準備を加速

北朝鮮は装備のアップグレードも進めており、北朝鮮が特に注目している兵器運搬システムの改良にロシアが手を貸す可能性もある、とヨウは言う。

さらに1月19日、北朝鮮は「水中核兵器システム」の試験を実施したことを発表した。水中核攻撃艇と称する海軍のドローンのテストは、アメリカ、韓国、日本が実施した合同海軍演習に対抗したものだという。

北朝鮮は昨年9月、核兵器の搭載と発射が可能な初の「戦術核攻撃型潜水艦」をデビューさせたと発表した。欧米のアナリストの間では、この潜水艦の真の能力について疑問の声が上がっている。

2023年後半には「アメリカとその属国勢力による前例のない反朝(北朝鮮)対決工作」に直面し、「戦争準備をさらに加速させる」と述べている。

北朝鮮はスパイ衛星も打ち上げており、今年中にさらに数機を軌道に乗せる予定だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中