ガザ地区の弱者にとってイスラエルの空爆が意味するもの
Palestinians With Disabilities in Gaza Have No Hope for Surviva
ガザ地区の住民が攻撃を察知した場合、あるいは避難勧告を受けた場合、車椅子利用者が自力で避難できる可能性はほとんどゼロに近い。あらゆる方向から砲弾が降り注ぐなか、誰かに運んでもらうようなことをすれば、標的となった家に残ったほうがまだましなほどの危険にさらされる。
耳が聞こえない、あるいは目が見えない人の場合はどうだろうか。誰が彼らに危険を警告し、避難を手助けしてくれるのか。危険が迫っていると気づいても、彼らには自力でどこかに避難したり、走って逃げたりすることはできない。
そして聴覚障害者や視覚障害者ががれきの下に閉じ込められた場合、そこから救助される可能性はどれぐらいあるだろう。彼らは自分たちに呼びかける声を聞くことができず、助けが向かってきている兆候を見ることができない。今回の戦争の影響を受ける200万人近いパレスチナ人の中で、最も大きな困難に直面しているのが障害者だ。過密な避難所のような環境では、自力でトイレに行くことさえきわめて困難なのだ。
人道支援物資は健常者向け
日を重ねるごとに、状況は悪化する一方だ。これまでに多くの障害者が命を落としたが、重傷を負った障害者はさらに多い。新たに障害を負った人もいる。イスラエルによる攻撃が始まって以降、ガザ地区で負傷した5万2000人のうち、かなりの部分の人々が今後、一つあるいは複数の障害を背負って生きることになるだろう。
ガザ地区南部にあるラファの検問所からは医療物資が搬入されているが、その中には抗てんかん薬や精神病の治療薬、自閉症の人々が必要とする医薬品や、車椅子や松葉杖などの補助器具が含まれていない。
イスラエルの攻撃により右腕を失ったパレスチナ人のある子どもは、インタビューにこう語った。「大きくなったらカメラマンになるのが夢だった。もうカメラマンにはなれない。腕をなくして、どうやって生きていいのかも分からない」
この少年の悲痛な叫びは、ガザ地区にいる何万人もの障害者が置かれている悲惨な状況を物語っている。
*ムハナド・アラッツェはヨルダンの元上院議員で人権問題の専門家。
*本記事の中で表明されている意見は筆者個人のものである。
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