中国「信用バブル崩壊」へのカウントダウンが、「影の銀行」破綻から始まる
Chinese Shadows
中国の未完成の超高層ビル Andy.LIU-shutterstock
<中国の大手資産運用会社「中植」が「深刻な債務超過」を発表。顧客の多くが中国共産党幹部とつながりのある裕福な個人や企業であるため、いかに軟着陸させるかが課題>
11月下旬、中国の大手資産運用会社の中植企業集団(中植)は自社が「深刻な債務超過」に陥ったと発表した。約2000億元(約4兆600億円)の保有資産に対し負債は推定4600億元(約9兆3400億円)。
数日後に捜査が始まり、12月1日には同社と関係の深い2社の会長2人と連絡が取れなくなった。
問題は、中植が中国のシャドーバンキング(影の銀行)の重要なプレーヤーであることだ。シャドーバンキングはノンバンク企業による融資や投資で、中国では盛んに行われている。
もっとも、中国の多面的な経済危機の中で破綻するシャドーバンクは、中植だけではなさそうだ。中国のシャドーバンキングにはマイクロファイナンスや信用保証会社、さらには質屋なども含まれ、3兆ドル規模に発展している。
中国の銀行は国有で融資業務に対する規制も厳しいが、シャドーバンキングは銀行が規制をかわす手段になっている。
2015年のある報告書は、中国のシャドーバンキングの3分の2が銀行からの資金と推定している。
「影」の濃さも多様で、中国最大のシャドーバンクの1つは政府系の資産運用会社とみられる。また、業務の多くはグレーゾーンで、当局から正式に承認されていない。
2008年の金融危機以降、中国では大規模な景気刺激策により信用が拡大し、シャドーバンキングの役割が急激に広がった。資金の大半は不動産市場に投資され、株式市場や商品市場にも流れ込んだ。
当局はリスクを認識しつつ「その場しのぎの規制」に追われたと、ローディアム・グループのアナリスト、ローガン・ライトは言う。
規制が強化されると銀行は手法を変え、通常の融資で提供していた資金もシャドーバンキングを経由するようになった。
ライトによると、2016年には「中国の規制当局は、金融システム内の資金の流れを監視するのに必死だった」。