ロシア、ウクライナですでに「併合」した4州以外にも占領地を広げる新計画
Russia Has New and Extended War Plans in Ukraine: ISW
占領地奪還のために戦っているのに……東部バフムト近くで位置に着いたウクライナ軍のT-64戦車(2月16日)
<最近になってプーチンは新たな「拡張主義」的な発言に転じ、ロシア軍が2024〜2026年に向けた戦争長期化の準備を進めている、と米ISWが分析>
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ロシアがウクライナに侵攻してからまもなく3年が経つ。そんな中、ロシアが占領地の拡大に向けた新たな計画を立てていると報じられた。アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は12月15日、この計画はロシアの戦争長期化に備えたこれまでの動きと一致するとの分析を示した。
ロシアはこれまでにウクライナのドネツク州、ヘルソン州、ルハンスク州、ザポリージャ州を一方的に「併合」。
最近では、ウクライナ軍の激しい抵抗を受けてきたドネツク州の都市アウディーイウカでも、少しずつ包囲の輪を狭めている。ロシアが攻撃を始めた10月10日以降、今回の戦争でも有数の激しい戦闘を繰り広げている。
ドイツのビルト紙は先に、ロシアが「(違法に)併合した4州以外のウクライナの領土を2024〜26年の間に占領する」計画を立てていると報じた。
同紙が情報筋の話として伝えたところでは、ロシアは24年末までにドネツク州とルガンスク州の全域の占領と、ハルキウ州のオスキル川まで前進することを計画しているという。
プーチンは拡張主義的な発言に「回帰」
これについてISWは以下のように指摘した。「このたび報道されたロシアの2026年までの計画は、ロシアが長期的な戦争に向けた準備を続けていることと軌を一にする」「ロシア軍司令部は戦略備蓄を形成するため、(軍の)長期的な再編と拡大を続けている。またロシアは、長期的な戦争を維持するために徐々に防衛産業基盤の動員を進めてきた」
この分析で、ISWはビルトの伝えた新しい計画は十分に現実味があるとの見方を示した。理由はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が先ごろ、「ロシアの領土」からのウクライナ部隊の撤退が戦争終結の必要条件だとする「拡張主義的な発言」を行っていたからだ。
「ロシアが(違法に)併合した4州を超えて占領を拡大しようとしているという中長期計画も、ウラジーミル・プーチン大統領を含むロシア高官が最近、拡大主義者的な発言を再び始めたことや、ロシア軍がハルキウ州の占領地を拡大すべく攻撃を続けていることを考えると、現実味のある話だ」とISWは指摘した。
またISWはこうも述べた。「ロシア高官は声明で、現在の前線および併合された4州を超えてウクライナの領土をさらに併合する意図を示している」