【地図で読み解く】中東9カ国&米中露3カ国...それぞれの「中東問題」への思惑とは?
Puzzling Out the Middle East
エジプト
イスラエルとはシナイ半島をめぐって交戦してきた歴史がある。1979年に和平条約を結んで以降は、イスラエルとパレスチナの仲介役を務めてきた。
ガザと接する国境のラファ検問所はイスラエル管理下にない唯一の検問所で、人道支援物資の供給路として重要。一方、検問所からの難民受け入れは停滞する国内経済への影響やテロ拡散を避けるため、拒んでいる。
レバノン
イラン影響下のイスラム教シーア派の武装組織、ヒズボラ(国内では合法政党としても活動)を抱える。
経済危機から立ち直れないなかでの戦争参加はレバノンとしては避けたいが、ハマスを援護するヒズボラとイスラエルとの暴力の応酬は甚大な被害を生んだ2006年のイスラエル・ヒズボラ紛争並みにエスカレートしつつある。
ヨルダン
伝統的に親欧米かつ穏健な立憲君主制国家で、中東和平の推進役として全方位外交を展開する。2020年にUAEなどが国交樹立するまでは、イスラエルと外交関係を有するアラブ国家はヨルダンとエジプトだけだった。
今回の戦闘でもアラブ諸国を代表して休戦を求める決議案を国連総会に提案し、採択されている。難民受け入れにも積極的で、国民の7割がパレスチナ系とされる。
シリア
アサド政権が反政府勢力との内戦を戦い、イランは勢力拡大を狙ってシリア国内の民兵組織を支援する。イスラエルはこうした組織への空爆を行ってきたが、10月にも首都ダマスカスなどを爆撃。
将来の衝突に備え力をそぐのが目的とみられるが、こうした攻撃自体が戦線拡大の火種になり得る。シリアを支援するロシアも状況を注視している。