【一覧】イスラエルに対抗するのはハマスだけではない...知っておくべき、これだけ多くの政治・武装組織
It’s Not Only Hamas
PLOの主流派ファタハを支持するガザの人々。追放されても支持は根強い(2016年) ALI JADALLAHーANADOLU AGENCY/GETTY IMAGES
<入り組んだ歴史の中でこれだけ多くの反イスラエル組織が生まれた>
イスラム組織ハマスの奇襲に対してイスラエルが報復攻撃を強化し、中東は大混乱に陥っている。攻撃は、世界で最も長く続いている紛争の1つを劇的にエスカレートさせた。
しかし、パレスチナ人の民族自決権のためにイスラエルと戦おうという組織は、ハマスだけではない。危機の時だからこそ押さえておきたい反イスラエルの主要組織は──。
ハマス
200万人以上が暮らすパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するスンニ派イスラム系政治組織。イスラエルを承認せず、軍事部門のエゼディン・アル・カッサム旅団などが武力抵抗を続け、長年にわたりイスラエルに対する数多くのテロ攻撃やミサイル攻撃を主導してきた。
1987年の第1次インティファーダ(パレスチナ人の反イスラエル闘争)を機に結成され、アラビア語の「イスラム抵抗運動」の頭文字を取ってハマスと名付けられた。母体となったのは、エジプトのスンニ派イスラム組織「ムスリム同胞団」だ。
ハマスは武装組織であると同時に、パレスチナの2大政党の1つでもある。ライバル政党であるファタハは、イスラエル占領下にあるヨルダン川西岸地区を統治するパレスチナ自治政府の主流派。だがハマスは2006年のパレスチナ立法評議会選挙で圧勝すると、ファタハをガザ地区から追放し、07年にガザを全面掌握した。多くの西側諸国は、ハマスあるいはその軍事部門をテロ組織に指定している。
カタールもハマスとは関係が深い。ハマスの指導者イスマイル・ハニヤは、カタールの首都ドーハから指揮を執っている。レバノンのシーア派イスラム系武装組織ヒズボラとは、宗教やイデオロギー面で意見の対立はあるものの、イスラエルとの戦いにおいては長年の同盟関係にある。
ファタハ
組織の名称は「パレスチナ民族解放運動」を意味するアラビア語の頭文字を逆からつづった。パレスチナ最大の世俗派政党であり、PLO(パレスチナ解放機構)およびパレスチナ自治政府の主流派だ。
設立は、48年の第1次中東戦争とイスラエルの建国によって75万人以上のパレスチナ人が住む場所を追われた「ナクバ(大厄災)」から約10年後の59年。PLOのヤセル・アラファト元議長やマフムード・アッバス現議長など、パレスチナから外国に離散した活動家が中心となって結成された。
ハマスと異なりイスラエルを承認しており、67年の第3次中東戦争後に設定された境界線を国境とする「2国家解決」を望んでいる。ガザ、ヨルダン川西岸と東エルサレムを「パレスチナ」と定義する案だ。
パレスチナ立法評議会選でハマスが予想外の勝利を収めた翌年の07年、ファタハはハマスによってガザを追われ、現在はヨルダン川西岸のみを支配している。