風雲急、中東に展開する米空母打撃群と最新鋭の中国海軍はどちらが強いか
China's Middle East Warship Flotilla Compared to US Carrier Strike Groups
スエズ運河を航海中の米空母「ドワイト・アイゼンハワー」(2021) Cameron Pinske/U.S. Navy/REUTERS
<海軍力の増強と中東での覇権拡大を進める中国海軍が、中東情勢緊迫で派遣された2つの米空母打撃群とあい見える時>
10月初めに中東で新たな戦争が勃発し、東地中海は風雲急を告げているが、この海域では米軍のみならず中国も軍事的プレゼンスを維持している。ただ「リーチ(軍事作戦を展開できる到達範囲)では、中国軍は米軍に遠く及ばない」と、アメリカがさらなる資源をこの紛争地域に送り込むなかで、軍事専門家が本誌に語った。
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10月7日にパレスチナの武装組織ハマスがイスラエル領内に大規模な奇襲攻撃をかけて以来、アメリカはこの地域における軍事的プレゼンスを大幅に拡大してきた。7日以降イスラエルはハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザに連日空爆を行い、地上侵攻の準備を着々と進めている。対してハマスはイスラエル各地をロケット弾とミサイルで猛攻。今なお多数のイスラエル人を人質としてガザ地区内に拘束しているとみられる。
米軍は2群の空母打撃群を東地中海に移動させ、それに伴いイスラエルにTHAAD(高高度防衛ミサイル)砲兵隊を配備し、「地域全体で米軍部隊の防護を強化するため、防空システムのパトリオットを運用する大隊を追加派遣」したと、ロイド・オースティン米国防長官は発表した。米軍の各部隊には派遣準備命令が下り、10月24日にはF16戦闘機の飛行隊が現地入りした。
敵対勢力に対する強固な意思表示
アメリカはまず空母「ジェラルド・フォード」を中心とする空母打撃群を東地中海に移動させ、続いて空母「ドワイト・アイゼンハワー」率いる空母打撃群にも「長期」の派遣でこの海域に向かうよう命じたと、米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官が発表した。
「米軍はこの地域において、使用可能な相当量の火力を保持することになる」と、独立系の軍事専門家パトリック・フォックスは空母打撃群の派遣前に本誌に語った。
空母打撃群の派遣により、米軍は「世界中どこでも、到着後すぐに、単独で作戦を開始」できると、24日の記者会見で米国防総省の高官は述べた。空母打撃群を「どこかに派遣する時、われわれは(同盟国に支援の意思を伝えるとともに)、敵対勢力に極めて強固な(牽制の)メッセージを意図的に送ろうとしている」と、国防総省幹部らは付け加えた。
だが中東でプレゼンスを誇示しているのは米軍だけではない。中東諸国がイスラエルとハマスの戦闘激化を固唾を飲んで見守る中、中国海軍の艦船もペルシャ湾とオマーン湾を航行している。