最新記事
野生動物

巨大ザメの衝撃的な死骸を発見...バラバラに裂かれた身体が物語る「海の王者」の謎に包まれた生態

Orcas Rip Apart Great White Shark in Rare Attack

2023年10月22日(日)07時20分
ジェス・トムソン

「2022年、ドローンの映像から、既知のペアの片方と一緒に、ほかのシャチたちも同様の行動を取っていることが判明した。シャチは、急速な学習をおこなうことが知られているが、この行動がそうした文化的伝達によるものかはまだわからない。また、こうした行動が広まっているかもわからない。観察が継続されている」

シャチたちのこうした行動は、当該海域の生態系に影響を与えている。南アフリカ沖では、ホホジロザメとクロヘリメジロザメが、シャチが回遊する場所を避けているのが観察されている。それらの海域では、以前は食物連鎖の頂点にこうしたサメが君臨していたのだが、シャチの影響で数が激減する事態となっている。

「サメの減少は中位捕食者の解放につながる」

「海洋生態系の頂点捕食者であるホホジロザメの減少や移動は、中位捕食者の解放につながる可能性がある」とタウナーは説明する。「南アフリカなどの海域では、シャチが原因でホホジロザメが不在になり、ミナミアフリカオットセイと、絶滅の危機にあるケープペンギンとの間で、小型の遠洋魚を巡る競争が激化している」

オーストラリアの研究者たちは現在、サメの死骸に残された傷の調査や、「犯人」が残した唾液などの残留物に関する遺伝子調査をおこなっている。

サメとシャチの相互作用に関する国際的なデータベースを作成するプロジェクトの一員でもあるフリンダース大学のマイヤーは、「シャチはとても神秘的な動物だ。われわれがシャチに接する機会があまりないからだ」と話す。

「あまり見られない動物であるし、群れやエコタイプ(特定の環境条件に適応した個体群)によって行動がかなり異なるため、シャチ全体について何らかの結論を導き出すのは難しい」
(翻訳:ガリレオ)

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米共和強硬派ゲーツ氏、司法長官の指名辞退 買春疑惑

ビジネス

車載電池のスウェーデン・ノースボルト、米で破産申請

ビジネス

自動車大手、トランプ氏にEV税控除維持と自動運転促

ビジネス

米アポロ、後継者巡り火花 トランプ人事でCEOも離
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中