南シナ海に打たれた「布石」...アメリカがフィリピンの離島で建設する「港」の効果とは
バタン島の戦略的意義は大きい EZRA ACAYAN/GETTY IMAGES
<フィリピン最北部バタン島で、米軍と地元政府が進める商業港の開発計画。台湾への距離も近く、中国の反発を招くのは必至とみられる>
領有権をめぐって中国と周辺諸国の対立が続く南シナ海に新たな火種が浮上した。フィリピン最北部のバタネス州バタン島で、アメリカ軍と地元政府が商業港の開発計画を進めていることが明らかになったのだ。
地元政府は荒天時に物資輸送できる代替港が必要だと説明するが、商用か軍用かにかかわらず戦略的な意味は極めて大きい。バタン島と台湾南端との距離はわずか200キロ足らず。両者の間に位置するバシー海峡は多くの船舶が通過する海上交通の要衝で、中国が台湾に侵攻する際の主要ルートと目される。
中国が南シナ海で軍事拠点の増設を進めるなか、アメリカはフィリピンなど周辺国との連携を強化しており、港湾建設も中国への牽制の一環とみられる。また、港が完成すれば米軍は台湾へのアクセスに優れた位置に戦略的拠点を得られる。
それだけに中国側の反発は必至で、フィリピンに経済面で圧力をかけて対抗する可能性も指摘されている。
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