69兆円の中国ライブコマース市場は進化できるか? 値引きや有名人頼みから脱却目指す
競争とリスク
代理店ロモモの幹部は「ブランド企業はライブコマースについて楽観的で前向きになっている。確固としたライブコマースのチャンネルを構築するのが重要だ。なぜならそれは大事な販売・対話ツールだから」と強調した。
ロモモはファッション専門の電子商取引企業バイ・クイックリー(百秋)の子会社で、ランコムやアンダーアーマー、ヒューゴ・ボスといったブランド向けに150人を超えるフルタイムの司会者を派遣している。
もっとも市場細分化に伴って、プラットフォームや司会者が乱立し、視聴者を獲得するためのし烈な競争が繰り広げられているのも確かだ。
アリババ傘下の天猫や淘宝網(タオバオ)、あるいはJDドット・コムといった純粋な電子商取引企業は、抖音やインスタグラム型アプリ「小紅書」の台頭によって支配的地位が脅かされている。
消費者は今、お勧めのホテルから気に入ったマニキュア探しまで全て、ライフスタイル・プラットフォームである小紅書を利用しているからだ。
規制当局の締め付けも、従来のライブコマースのあり方に波紋を投げかけた。
李佳琦氏は天安門事件を連想させるような戦車を模したケーキを紹介し、別のスーパー司会者でライブコマースの女王と言われたviya氏は脱税事件が発覚したため、いずれもライブから降ろされた。
viya氏の配信は今も復活しておらず、たった1人か2人の有名司会者に販売活動を依存するリスクがあらわになった形だ。
フィットネスウェアのブランド「Sweaty Betty(スウェティ・ベティー)」の中国バイスプレジデント、レクシー・モリス氏は、スーパー司会者たちは最も幅広い影響力を持っているかもしれないが、企業にとっては狙っている消費者にきちんと届くことの方がより重要だ、との見方を示した。
(Casey Hall記者)