最新記事
異常気象

バングラデシュ、猛烈な熱波襲来で最高気温41度に 停電頻発でH&M、ザラなどへの供給も滞る

2023年6月7日(水)15時48分
ロイター
木陰で涼を取るダッカの人々

バングラデシュは今週、焼け付くような熱波に見舞われて小学校が相次ぎ休校したほか停電が頻発した。気象当局は当面暑さが続くと警告しており、扇風機を持たない住民の生活環境は悪化の一途をたどっている。ダッカで6月6日撮影(2023年 ロイター/Mohammad Ponir Hossain)

バングラデシュは今週、焼け付くような熱波に見舞われて小学校が相次ぎ休校したほか停電が頻発した。気象当局は当面暑さが続くと警告しており、扇風機を持たない住民の生活環境は悪化の一途をたどっている。

10日前に摂氏32度だった最高気温は41度近くまで上昇しており、科学者らによると気候変動の影響で夏を通じて熱波の頻度が増え、より強烈で長期間にわたる見通しだ。

国内では最大の石炭火力発電所を含めた複数の発電施設が燃料不足で稼働を停止。ナスルル・ハミド電力エネルギー鉱物資源相は、あと2週間は停電に直面する恐れがあるとフェイスブックに投稿した。

ハミド氏は「世界的なエネルギー危機と、かつてないほどの外貨高騰のため、われわれはこの望ましくない消費電力の削減にさらされている」とした。

首都ダッカのある商店主は「このところ途方もないほどの暑さになっているが、何時間もの停電が私たちの惨めさに拍車をかけている」と嘆く。

あまりの暑さで病院に駆け込む人々も増えている。バングラデシュ北西部の内科医の1人は「熱中症ないし暑さに関連した他の症状に苦しむ多くの患者を受け入れている」と語った。

当局は市民に対し、屋内にとどまり水を飲むよう呼びかけている。ただ多くの場所では水も不足している状況だ。

またバングラデシュはウォルマートやギャップ、H&M、ザラといった欧米のアパレル小売企業向けの衣料品輸出が主要産業となっているが、停電のためにこれらの供給も滞っている。

輸出収入が失われれば、既に4月までの1年で3分の1近く目減りして7年ぶりの低水準となっているドル準備高が一層枯渇し、燃料輸入のための支払い能力が制約される悪循環が予想される。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中