最新記事

タイ

タイの経済成長率はASEAN加盟国でほぼ最下位、復活に必要なものとは?

THAILAND’S CHOICE

2023年5月22日(月)13時22分
ペートンタン・シナワット(タイ貢献党・首相候補)

最優先課題の1つは、GDPを1.6%押し上げることが期待されるEUとの自由貿易協定の実現だ。タイ国民のビザなし渡航が可能な国を増やし、経済活動や異文化交流を促すことも重要になる。

地域内の各国、特に中国との関係強化も進めていく。隣国ラオスを縦断する高速鉄道によって中国の「一帯一路」構想に参加することで、3国間の平和、安定、繁栄を推進することが可能になるだろう。

ASEANでも指導力を発揮し、ミャンマーやラオス、カンボジア、マレーシアなどの近隣諸国との経済関係を強化する。

タイが国際社会で地位を取り戻し、地域のリーダーとしての立場を確立するには、人権を守り、国際法に従うことが欠かせない。わが党は国内外において、ロヒンギャなど少数民族も含め全ての人の権利を守る。

クーデター以降は環境問題も後回しにされた。カーボンプライシング(炭素排出に価格を付け、排出者の行動を変容させる政策)、持続可能な農業、電気自動車の導入を、経済課題のトップに位置付けるべきだ。

14年以降、タイの発展は政治腐敗や縁故主義、非効率な経済、環境悪化に妨げられ、勤勉な国民がそれまでの40年間に獲得した進歩の多くが無に帰した。

経済成長を促し、民主的な正統性を回復させることで、タイ政府は国民の信頼を取り戻し、この国を国際舞台に復帰させることができる。

©Project Syndicate


230530p15NW_SHINAWATRA.jpgペートンタン・シナワット
PAETONGTARN SHINAWATRA
タクシンやインラック元首相を輩出した中国系タイ人家系出身の36歳。一族の事業に従事後、政界に進出。総選挙前の世論調査では次期首相に望ましい人物で首位だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、台湾新総統就任控え威圧強める 接続水域近くで

ワールド

米財務省、オーストリア大手銀に警告 ロシアとの取引

ビジネス

MUFG、今期純利益1兆5000億円を計画 市場予

ビジネス

焦点:マスク氏のスペースX、納入業者に支払い遅延 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 8

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中