タイの経済成長率はASEAN加盟国でほぼ最下位、復活に必要なものとは?
THAILAND’S CHOICE
最優先課題の1つは、GDPを1.6%押し上げることが期待されるEUとの自由貿易協定の実現だ。タイ国民のビザなし渡航が可能な国を増やし、経済活動や異文化交流を促すことも重要になる。
地域内の各国、特に中国との関係強化も進めていく。隣国ラオスを縦断する高速鉄道によって中国の「一帯一路」構想に参加することで、3国間の平和、安定、繁栄を推進することが可能になるだろう。
ASEANでも指導力を発揮し、ミャンマーやラオス、カンボジア、マレーシアなどの近隣諸国との経済関係を強化する。
タイが国際社会で地位を取り戻し、地域のリーダーとしての立場を確立するには、人権を守り、国際法に従うことが欠かせない。わが党は国内外において、ロヒンギャなど少数民族も含め全ての人の権利を守る。
クーデター以降は環境問題も後回しにされた。カーボンプライシング(炭素排出に価格を付け、排出者の行動を変容させる政策)、持続可能な農業、電気自動車の導入を、経済課題のトップに位置付けるべきだ。
14年以降、タイの発展は政治腐敗や縁故主義、非効率な経済、環境悪化に妨げられ、勤勉な国民がそれまでの40年間に獲得した進歩の多くが無に帰した。
経済成長を促し、民主的な正統性を回復させることで、タイ政府は国民の信頼を取り戻し、この国を国際舞台に復帰させることができる。
ペートンタン・シナワット
PAETONGTARN SHINAWATRA
タクシンやインラック元首相を輩出した中国系タイ人家系出身の36歳。一族の事業に従事後、政界に進出。総選挙前の世論調査では次期首相に望ましい人物で首位だった。