最新記事
米社会

セクシー衣装でデモに繰り出した女性たち...ストリッパー労働組合の結成への歴史的な戦い

2023年5月20日(土)20時09分
モニカ・アガルワル
ストリップクラブ(イメージ画像)

写真はイメージです M-Production/Shutterstock

<ストリップクラブのダンサーたちが1年以上にわたる抗議活動の末、全米で10年ぶりとなる労働組合を結成することになった>

米カリフォルニア州ロサンゼルス市にあるストリップクラブが、歴史を変えようとしている。アメリカでは極めて珍しい、「ストリッパーの労働組合」が誕生するのだ。客から不適切に触られる行為などに悩んできたダンサーたちは、自分たちの権利を求めて抗議デモを繰り返し、長い闘いの末に今回の「勝利」を手にしたことになる。

■【写真】組合結成の権利を求め、セクシー衣装でデモに繰り出したストリッパーの女性たち

同市ノースハリウッドにあるストリップクラブ「スター・ガーデン・トップレス・ダイブ・バー」では、働くダンサーたちが1年3カ月にわたって、報酬アップと労働環境の安全性向上を求めて抗議活動を行ってきた。数カ月に及ぶ交渉の末に、クラブオーナー側弁護士は、労働組合選挙への異議をすべて撤回し、ダンサーによる労働組合の結成を承認すると発表した。

CBSニュースが入手した声明で、クラブ側弁護士のアン・ルーダは、「スター・ガーデンは、米国俳優労働組合(AEA)と誠意をもって交渉し、関係者全員にとって公正で、これまでに類を見ない団体労働協約を目指していくことを約束する」と述べている。

労働組合選挙は5月18日(現地時間)に開票され、ダンサーたちが圧倒的多数で勝利した。あとは、全米労働関係委員会(NLRB)がこの選挙結果を認定すれば、ダンサーたちは労働組合に正式加入して、クラブ側と団体交渉を始めることが可能になる。

NLPBが認定すると、ダンサーたちは米国俳優労働組合(AEA)に所属することになる。AEAは、5万1000人以上の俳優と舞台監督を代表する組織だ。

認められていない形で客に触られる

米国俳優労働組合のケイト・シンドル委員長は、「労働組合を求める労働者はすべて、労働組合に加入する権利がある」と語ったと、CNNは報じている。「スター・ガーデンで働くダンサーたちは、長期にわたって断固とした姿勢を崩さず闘ってきた。職場の安全性と民主的体制を求める権利、ならびに、交渉での代表権が認められたことを非常に嬉しく思う」

同クラブのダンサーたちは1年以上にわたり、労働組合の承認を求めて活動を行い、職場の衛生環境改善やハラスメント予防策といった幅広い安全対策を導入を求めてきた。

同クラブで働くダンサーのベルビータは、客が不適切な方法でダンサーに触る行為について、クラブ側はもっと深刻に受け止めるべきだと訴えた。「境界線を尊重しない客がいて、ダンサーが認めていないにもかかわらず、不適切な方法でダンサーに触ったり、ステージ上やラップダンス中のダンサーを触ったりする行為を不快に思っていた」

試写会
カンヌ国際映画祭受賞作『聖なるイチジクの種』独占試写会 50名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中