ゼロコロナ後の中国、あらゆる問題で自国の安全保障に注力 外交・ビジネスで多くの「矛盾」も
中国は、欧州の米同盟国にすり寄る動きを見せている。これもやはり米国政府の影響力に対抗するための中国の戦略の一環だが、その成否はまちまちだと、アナリストらは分析する。
彼らが注目するのは、先月に中国で行われた習氏とマクロン仏大統領との会談だ。友好的で建設的な会談に見えたが、マクロン大統領が中国を離れた直後に、中国が台湾周辺で軍事演習を始めたことで台無しになった。
台湾問題に関するマクロン氏の姿勢が弱気と受け止められたことと併せて、この演習開始を機に、マクロン氏の訪中は中国への迎合であるという批判が噴出した。その後欧州連合(EU)諸国の高官たちは、中国に対する態度を硬化させている。
ビジネス界の焦燥
中国の安全保障偏重の姿勢は、経済的な孤立に繋がるリスクがある。
中国では3月、世界の企業首脳を集めた重要会合が2件開催され、当局者たちは、コロナ後の中国がビジネスに対して開放的であることを懸命に強調していた。
だがこの数週間、中国はスパイ防止法の広範な改正を行い、中国国内で活動する外国企業数社に対して、米国政府が「懲罰的」だと指摘する措置をとった。
商工会議所の中国政策委員会のレスター・ロス委員長は、「中国では、外国からの投資をさらに誘致しようとしている一方で、治安部隊が強硬になっているように見える」とロイターに語った。
中国外務省の当局者は従来、中国政府は中国の国内法を順守する限り外国企業を歓迎すると述べていた。
経済再開に対する希望的観測はどこへやら、中国の米国に対する対抗意識が投資家にとって最大の懸念となる中で、数十年続いていた中国資本市場に対する海外投資家の積極姿勢は崩れつつある。
世界有数のヘッジファンドであるブリッジウォーターの創業者で、親中派として有名なレイ・ダリオ氏も、懸念を強めている1人だ。
今年初めに現場を離れたダリオ氏は最近、個人としてのリンクトインのアカウントで、「(中国と米国は)越えてはならない一線にギリギリまで近づいている。もし一線を越えてしまったら、両国は何らかの形の戦争の瀬戸際に立つことになる。それは両国にダメージを与え、世界の秩序にも、深刻かつ取り返しのつかない損害を与える」と書いた。
(Yew Lun Tian記者、James Pomfret記者、翻訳:エァクレーレン)
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