岸田首相に吹くG7サミットの追い風 支持率10ポイント上昇で永田町は解散に浮足立つ
来年の総裁選をにらみ、解散は秋口か?
解散観測は野党にも根強く、立憲民主党幹部は「サミット後に自民党が実施する選挙予測調査の結果を受けて首相が早期解散有無を判断するのではないか」とみる。
だが、いま解散総選挙に踏み切ると来年秋の自民党総裁選までには距離がある。その間に岸田降ろしが起きる可能性もあり、首相が長期政権を狙うなら、総選挙に勝利した勢いで総裁選に臨むほうが理にかなっていると、別の自民党議員の1人は解説する。
「今国会での解散はない。早くても秋の臨時国会で補正予算とセットでの判断となるのではないか」と、内閣府関係者は言う。
岸田首相は21日、サミットの議長国会見で解散の可能性を問われ、「重要な政策課題に結果を出すことを最優先で取り組んでいる」とし、「いま解散、総選挙については考えていない」と従来の見解を繰り返した。
それでも解散観測はくずぶる。秋以降に先延ばしすれば、増税が争点になる可能性があるためだ。「少子化対策、防衛増強の財源議論が本格化するため、増税が争点になれば選挙は勝てない」と、元自民党幹部職員で政治評論家の田村重信氏は指摘する。
G7前にロイターが確認した今後の政治日程によると、最短で6月27日公示(7月9日投開票)、7月11日公示(7月23日投開票)とする想定に加え、9月以降も複数の日程候補が並ぶ。
岸田首相は21日の議長国会見冒頭、広島から核廃絶を発信する意味を訴えた。そして会見終了後に核軍縮の道筋について追加で問われると、演壇に戻って再び発言し始めた。
国会運営に詳しい政府関係者の1人は「広島で会見する岸田さんの姿からは2005年の『郵政解散』前の小泉純一郎さんを思い出させる雰囲気があった」と話す。
(竹本能文、杉山健太郎、山口貴也 編集:久保信博)