ソウルの塾に通う中高生に配られた「頭が良くなるメガADHD」の正体は?
覚醒剤やMDMAといったドラッグの成分が入っていたドリンク MBCNEWS / YouTube
<大ヒットドラマの舞台にもなったソウルの学習塾街で、子供たちに覚醒剤入りドリンクが配られた──>
韓国ソウルの江南(カンナム)といえば、高級住宅エリアとして知られるが、もう一つ別の顔がある。加熱する受験競争を生き残るため、中学生や高校生が毎夜通う有名塾が立ち並ぶ街、大峙洞(テチドン)も江南のもう一つの顔だ。エスカレートする教育熱を描いて大ヒットした韓国ドラマ『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』にも登場したエリアだ。
そんな受験競争の真っ只中で過ごす子どもたちとその親を震撼させる事件が起きた。3日夕方、江南区庁駅との大峙駅付近で「記憶力と集中力強化によいドリンクを試飲会中」という触れ込みで高校生らに飲み物を渡した男女4人がいた。ところが、このドリンクを飲んだ高校生が体の不調を訴えて救急搬送される事態になり、警察がドリンクの成分を分析したところ、覚醒剤やMDMAといったドラッグの成分が検出された。韓国経済、東亜日報など韓国メディアが報じた。
ドリンクを飲んだ子供の親を恐喝
問題になったドリンクは「メガADHD」という商品名のラベルが貼られていた。これを配布したグループは2人1組で試飲会を装い、子どもたちから「今後購入したいかどうかを調査するために必要」と言って保護者の電話番号を聞き出していた。犯行グループは電話番号を聞き出した親に対して「子どもが麻薬を服用したと警察に通報したり、学校に知らせる」と脅迫して口止め料を要求していたという。
これまで高校生6人が被害を受けたと通報してきたという。
バイク便で実行役にドリンクを渡していた
ソウル江南警察署によると、6日午前中までに犯行グループ4人のうち、3人の身柄を確保した。検挙された容疑者らは「インターネットで高額アルバイトの募集を見て指示通りに試飲会をしただけで、麻薬成分が入っていたなんて知らなかった」と供述した。また、ドリンクについては「アルバイトの募集者からある地下鉄駅のコインロッカーにドリンクがあるというメッセージをうけて持ってきた」と主張し、また別の容疑者は「バイク便でドリンクを受け取った」と話しているという。指示役が誰なのかなどは知らなかったということだ。
警察はこれらの供述が一貫しており、現場で飲料を配った4人のうち2人が自首したことなどから信憑性が高いと見て、保護者脅迫を計画した主犯があるものと見ている。警察関係者は「まだ逮捕されていない被疑者1人を継続し、追跡中だ」と明らかにした。
今回の事件に関連して、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「検察と警察は捜査力量を総動員して麻薬の流通・販売組職の根絶、犯罪による収益を最後まで追跡して返還させよ」と指示した。これを受けて今回の事件はソウル江南警察署からソウル警察庁広域捜査団麻薬犯捜査隊に移管されたという。