最新記事
ロシア

プーチンは体の病気ではなく心の病気?──元警護官が明かす奇行の数々

Putin's Secrets Revealed by Former Kremlin Guard in Interview

2023年4月5日(水)19時39分
ジョン・ジャクソン

ロシアの産業都市トゥーラの鉄道関連メーカーを視察したプーチン(4月4日) Sputnik/Ramil Sitdikov/REUTERS

<いまだにコロナが怖く、身辺警護要員は2週間の完全隔離をしないと随行を許されないなど、想像を超える猜疑心の強さ>

最近までクレムリンで警護を担当し、ウラジーミル・プーチン大統領と直接接していた人物が、4月4日に公開されたインタビューでプーチンに関する秘密を明かした。

この人物の名は、ゲレブ・カラクーロフ。2009年にロシア連邦警護庁(FSO)に入り、プーチンの警護官の1人として勤務。大尉にまで昇格したが、ウクライナ侵攻に反対して2022年にトルコのイスタンブールに逃れた。

カラクーロフは、ロンドンに拠点を置き調査報道を手がける「ドシエセンター」に対し、自身の任務はプーチンが直接行う通信を暗号化することだったと述べた。カラクーロフは、13年間にわたったFSO勤務中、国内外を訪問するプーチンに180回以上同行したと言う。

ドシエセンターは、カラクーロフのさまざまな書類が本物であることを確認したと報じ、カラクーロフについて、「最近西側に逃れたロシア情報部員の中で、最も高位の人物」だとしている。ただし、カラクーロフがプーチンについて述べた内容について、ニューズウィークでは独自にその信憑性を確認することはできなかった。

カラクーロフの話はプーチンの極端な性格を示唆するものだ。たとえば「プーチンはいまだに新型コロナウイルス感染症を極度に警戒」しているという。プーチンは今も人との接触を避け、多くの時間を「シェルター」と呼ばれる私邸で過ごしている。今も「自己隔離」に近い状態を貫いているというのだ。

巨大な「電話ボックス」持参

大変なのは身辺警護のカラクーロフたちだった。「行事の前にはいつも2週間の隔離生活を送らなくてはならない。たとえその行事がたった15分か20分であってもだ」「2週間の隔離を済ませ、条件を満たした要員がプールされている。彼らは『クリーン』として、プーチンと同じ部屋で職務を行うことが許された」

プーチンはテクノロジーを嫌悪している。カラクーロフはプーチンが携帯電話を使う場面を見たことがなく、インターネットも使っていないと証言した。「大統領は、自身の側近だけから情報を受け取っている。つまり、情報の真空地帯で暮らしている」

外国訪問の際には「電話ボックス」を持っていく。高さ約2.5メートルもあるキューブ状の「大きな」構造物だ。エンジニアのカラクーロフによれば、その中にはワークステーションと電話が入っていて、この中であれば外国のスパイに盗聴されずに外部との通信が可能だった。最近のカザフスタン訪問の際には、防空壕の中でも通信できる仕様を求めたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中