一国主義が広がる世界に対し、日本とASEANが新しい将来像を提示する。
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基調講演には、マルティ・ナタレガワ元インドネシア外務大臣が登壇。「不信感、緊張、紛争という悪循環が世界中で起きている中で、外交と対話による信頼関係を築いている日・ASEANは希望の光」と語った。
1973年から始まった日本とASEAN(東南アジア諸国連合)との関係。1977年には、「心と心」の触れ合う信頼関係を構築することなどの日・ASEAN外交原則を掲げた福田ドクトリンが発表され、両者の関係性は目覚ましい発展と進化を遂げてきた。その友好関係が50周年を迎えることを記念し、国際シンポジウム「新たなステージを迎えた日・ASEAN関係──グローバル・パートナーシップの構築に向けて──」が東京で開催。東南アジアを代表する知識人や次世代の有識者13人が来日し、日本の有識者と共に議論を繰り広げた。
主催したのは、文化芸術や日本語教育、学術交流を通じて日本と諸外国との相互理解を深める活動を推進する国際交流基金。同基金理事長の梅本和義氏は、冒頭の挨拶で「共通する多くの課題に取り組むことで、次の50年に向けての日・ASEAN関係の未来を総合的に考える場にしたい」と、シンポジウムの目的を語った。
3つの切り口から考える、日・ASEANの課題と未来
では、日・ASEANの共通の課題とは何か。まずこの問いが、「世界/地域の平和と安定に向けて」をテーマとした最初のセッションで投げかけられた。多くのパネリストから出た回答は、米中関係に関する懸念だ。「経済成長の観点から、両国とよい関係を築きたい。ルールに基づいた国際秩序を確立し、戦略的自立性を維持することが重要」と語ったのは、ISEASユソフ・イシャク研究所シニアフェローのレー・ホン・ヒエップ氏。ブルネイ・ダルサラーム大学歴史・国際関係学科准教授のアブディラー・ノー氏は「インドアジア太平洋地域を国際公共財として見ることで、二国対立から脱却できるのではないか。公共財の毀損は悪であるという認識に基づき、より協力的なアプローチをする必要がある。ASEANにはそれを可能にする仕組みがある」と、新たな枠組みを示した。
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